経済小説イチケンブログ

経済小説案内人が切り開く経済小説の世界

2024-11-01から1ヶ月間の記事一覧

『湖底の光芒』 - 親会社の無理難題と下請け企業の怨念

製造業では従業員300人以下、サービス業であれば、従業員100人以下の企業は、中小企業と定められています。『中小企業白書』(2024年版)によると、国内の中小企業(336万4891社)で企業総数の99.7%、従業者数(3309万8442人)では全体の69.7%を占めています…

『ヤッさん』 - 築地市場と料理店を結ぶ「食の達人」はホームレス

「築地市場を扱った作品」の第二弾は、原宏一『ヤッさん』(双葉文庫、2012年)。主人公のヤッさんは、築地市場と料理店を行き来し、料亭でもホテルでも厚遇される不思議なホームレス。築地と料亭・レストラン・ホテルなどの料理人を結びつける優れたコーデ…

『築地魚河岸三代目』 - 仲卸の経営者になるはずの男は、魚のど素人

「東京で、美味しい魚を売っている市場はどこにあるのか」と尋ねられたら、多くの人は「築地」、2018年以降だと「豊洲」と答えるのではないでしょうか! 生鮮食料品を扱っている東京中央卸売市場「日本の台所」の一角を構成し、魚市場としての役割を果たして…

『集団左遷』 - 「無能」の烙印を押された50人のリストラ予備軍の奮闘

「左遷・降格を扱った作品」の第四弾は、江波戸哲夫『集団左遷』(祥伝社ノン・ポシェット、1995年)。バブル崩壊後の不況期、到底達成できない目標を課すことで、50名もの社員を解雇することを目的に、三有不動産の副社長が創設した「首都圏特販部」。本部…