経済小説イチケンブログ

経済小説案内人が切り開く経済小説の世界

2025-07-01から1ヶ月間の記事一覧

『南青山骨董通り探偵社』 - 探偵業務の多くはとても地味なもの

探偵とは、トラブルを抱える法人や個人の依頼を受けて、調査を行ったり、仲裁をしたり、助言をしたり、護衛や手助けをしたりといったさまざまな業務を行う職業です。ミステリー小説や映画などでは、その華々しい活躍がしばしば取り上げられます。ところが、…

『向田理髪店』 - 過疎の町と将来に対する住民たちの不安

「過疎のまち・むら」というテーマで紹介される作品の第二弾は、奥田英朗『向田理髪店』(光文社文庫、2018年)。北海道の中央部にある苫沢町は、昭和30年代には人口8万人を超える日本有数の炭鉱都市でした。ところが、石炭から石油への転換が進むと、衰退が…

アクセス数が5万件を突破!

2025年7月18日、本ブログへのアクセス数が5万を突破しました。ご覧くださっている方々には、心から感謝申し上げます。 たくさんのおもしろい「経済小説&お仕事小説」を知ってほしい! そのような思いで、このブログを始めたのは2019年2月4日のことでした。…

『いなかのせんきょ』 - 過疎の村での村長選挙は、おもしろくて、悲しけり

いま、わが国が抱える最大の難題のひとつに、人口の少子化・高齢化があります。その弊害が最も深刻化しているのは、地方の市町村です。かつてはごく普通に提供されていたさまざまな行政サービスの多くが縮小されたり、廃止されたりしています。雇用機会が減…

『オズの世界』 - 理想の遊園地づくりに挑むスタッフたち

「お仕事いろいろ」というテーマで紹介される作品の第七弾は、小森陽一『オズの世界』(集英社文庫、2015年)。波平久瑠美22歳が東京ディズニーランドを初めて訪れたのは、幼稚園のとき。それ以来、寝ても覚めても、頭のなかはディズニーランドのことで一杯…

『新卒ですが、介護の相談うけたまわります』 - 相談者に寄り添える相談員

「お仕事いろいろ」というテーマで紹介される作品の第六弾は、いぬじゅん『新卒ですが、介護の相談うけたまわります』(一迅社メゾン文庫、2018年)。舞台は、浜松市の福祉施設。相談員の経験が皆無ですが、「介護保険外相談所クルクマ」に配属され、相談員…