「極秘組織を扱った作品」の第二弾は、渡辺裕之『911代理店』(ハルキ文庫、2020年)。「何でも屋」に近い謎の組織「911代理店」(社長は元警察官の岡村茂雄)。「仮釈放中の者を雇って社員にし、裏で悪事を働いている」という噂も。実際は、「困っている人…
経済小説・お仕事小説に登場する組織と言うと、多くの場合、企業・地方自治体・公的機関など、実在の組織が想定されています。が、「架空の組織」もしくは「公にはされていない極秘組織」といった、「謎めいた組織」が描かれるケースがないわけではありませ…
「起死回生のビジネスモデルを扱った作品」の第三弾は、楡周平『日本ゲートウェイ』(祥伝社、2023年)。危機に陥った「老舗百貨店」、沈滞した「地域」、コロナ禍で苦境にあえぐなか、アフターコロナに向けての「備え」と「突破口」の構築が不可欠になりつ…
「起死回生のビジネスモデルを扱った作品」の第二弾は、楡周平『サンセット・サンライズ』(講談社、2022年)。コロナ禍で一般化することとなった「テレワーク」。それが「過疎化・空き家問題・後継者不足」といった地方が抱える諸問題とつながったときに生…
危機に陥った企業・地域・日本を再生させるために必要な「起死回生のビジネスモデル」とは、どのようなものなのか? そうした問題意識を持ちながら、多くの経済小説を執筆されている作家の楡周平さん。物流会社の活性化を扱った『再生巨流』を皮切りに、多く…
「『仕事を始める』を扱った作品」の第三弾は、熊谷達也『新参教師』(徳間文庫、2009年)。慣れない仕事に対する心配や不安は、なにも新入社員に限られるわけではありません。転職して新しい職場で働き始めるケースもあるからです。この場合、なにかにつけ…
「『仕事を始める』を扱った作品」の第二弾は、百瀬しのぶ『おくりびと』(小学館文庫、2008年)。遺体を拭き清めることを生業とする納棺師。「現世での汚れや苦しみの一切を洗い清め、来世での功徳を願いながら心を込めて執り行います」。世間では必ずしも…
4月と言えば、多くの新入生や新社会人が慣れない環境下で第一歩を踏み出すシーズン。初めての学校や職場に大きな戸惑いや不安も感じることでしょう。しかし、新しい出会いや期待に胸を膨らませる人も多いのではないでしょうか。今回は、新たな職場で働き始め…
「カフェを扱った作品」の第二弾は、岸本葉子『カフェ、はじめます』(中央公論新社、2015年)。吉祥寺に住む40代の独身女性・和久井いさみが、「かわいい古民家」に一目ぼれ。「家を壊されたくない」という思いから、その家を借り受け「おむすびカフェ」を…
ほぼ毎日、朝食の際に飲む、ちょっと濃い目の緑茶。お気に入りの湯のみに入った一杯目の狭山茶。「おいしい」という味わいとともに、私の一日が始まります。また、一日に一回、楽しませてもらっているのが一杯のカプチーノ。こちらの方は、なんらかの作業が…
「チームリーダーを扱った作品」の第二弾は、中鉢慎『リーダーになりたければ海に行け』(つり人社、2014年)。幼稚園時代からおよそ「長」と付く役柄とは無縁の人生を送ってきた金田シンペイ(入社7年目の29歳)。社運を賭けたプロジェクトのリーダーに抜擢…
会社や組織で、数年間働くと、常設部署の「長」は時期尚早だとしても、特定のプロジェクトチームなどのリーダーを任されることはまれではありません。なかには、それまでチームやグループを引っ張るという役回りなど演じてこなかった人がたくさんいます。自…
「職場の人間関係を扱った作品」の第二弾は、奥田英朗『マドンナ』(講談社文庫、2005年)。40代の男性課長5人の日常がユーモア溢れるタッチで浮き彫りにされています。その年代の課長と言えば、部長という上のポストを狙える位置にいるとはいえ、仕事のやり…
会社という組織では、多種多様な人間が一緒に働くことになります。少なくとも勤務時間内においては、協力したり、分担したりして業務を遂行することが求められます。でも、職場を構成する人たちの性格・考え・体調・家庭環境は、まさに千差万別。たとえ表面…
「相談室を扱った作品」の第二弾は、浅海ユウ『お悩み相談室の社内事件簿 会社のトラブルすべて解決いたします』(マイナビ出版ファン文庫、2019年)。総合商社「高岡物産」で、総務部が管轄する「お悩み相談室」の主任として異動することになった松坂紫音。…
人は皆、わからないことで悩みます。そんなとき、だれかのちょっとしたひと言が大いに参考となることはけっしてまれではありません。いろいろな人の相談に乗り、適切なアドバイスを行うことをビジネスとして行う「相談所」や、組織の構成員・顧客などを対象…
「諜報機関を扱った作品」の第二弾は、神野オキナ『国防特行班E510』(小学館文庫、2021年)。「日本にとって最も逆らいたくない同盟国」であるアメリカ。日本のどの諜報機関もアメリカを相手にすることは、ほぼ想定外。日本の情報は、すべてアメリカに渡さ…
「情報」という訳語が当てられる「インフォメーション」と「インテリジェンス」。前者はだれでも入手できる情報のこと。それに対して、後者は、政策決定者が安全保障や外交の分野で判断のよりどころとなるように選び抜かれた情報、端的に言えば諜報のことを…
「デザイナーを扱った作品」の第二弾は、蒼井湊都『いずみ野ガーデンデザイナーズ ワケあり女子のリスタート』(光文社文庫、2019年)。東京でガーデンデザイナーとして働いていた丸井咲和29歳。左遷されそうになって、なにもかもが嫌に。父が倒れたことを口…
私たちの生活は、お金を払ってさまざまなモノやサービスを購入することで成り立っています。それらの商品を選ぶ場合、一番気になるのはその品質や価格であるかもしれませんが、デザインやうたい文句などによって購買意欲が左右されることもまれではありませ…
「東南アジア・ビジネスを扱った作品」の第二弾は、ごく普通の日本人が現地で活躍するプロセスを追跡している加藤秀行『海亀たち』(新潮社、2018年)。ノルマ漬けの営業マンに疲れ果てた主人公が、ベトナムのダナンを皮切りに、ホーチミンやバンコクでビジ…
20世紀末、「メイド・イン・ジャパン」の工業製品が世界中を席巻しました。とりわけ、アジア各国における日本企業の存在感は、際立っていました。ところが、いまや韓国・中国といったライバル国との熾烈な競争のなか、日本企業のパワーは大きく損なわれつつ…
「家事代行を扱った作品」の第二弾は、楠谷佑『家政夫くんは名探偵!』(マイナビ出版ファン文庫、2018年)。家事代行会社で働いている三上光弥。おどろくほど推察力に優れています。刑事の連城怜の家で仕事をしているとき、彼の抱えている事件の真相を言い…
「経済小説イチケンブログ」を始めて、ちょうど5年が経過しました。この1年間、「作品紹介」の中で取り上げた作品数は104点。取り上げたテーマ数は、以下の通り41となりました。 5周年目の特集テーマ一覧 134 渋沢栄一 135 税金(2回目) 136 すきま仕事 137…
共働きの一般化、人口の高齢化、単身者の増加などに伴い、掃除・洗濯・食事の提供・買い物などの家事を代行業者に委託することがごく普通に行われるようになってきています。時間的、身体的に家事を行うことが難しい人にとっては、非常に便利なサービスです…
2024年1月27日、本ブログへのアクセス数が4万を突破しました。ご覧になっていただき、ありがとうございます。 たくさんのおもしろい「経済小説&お仕事小説」を知ってほしい! そういう思いで始めたこのブログ。ただ、最近は、お仕事小説の紹介が急増してい…
「経理を扱った作品」の第三弾は、明日乃『お局美智 経理女子の特命調査』(文春文庫、2020年)。終戦直後に先々代の野村千代作が創業し、先代の作太郎が育て、三代目の勇作が社長を務めている同族会社のNOMURA建設(従業員150名)。そこで経理の仕事をしな…
「経理を扱った作品」の第二弾は、柴田よしき『やってられない月曜日』(新潮社、2007年)。会社に入って何年か経ち、仕事にも慣れてくると、新鮮味がなくなってくるのは、世の常。単調な出来事の繰り返しのなかで、常にモチベーションをもって仕事に接し続…
経理の仕事は、一言で表現すれば、会社のお金を管理すること。経営者が経営判断をするために必要な決算書の作成のほか、現金の出納管理、経費の精算、伝票の記帳・整理、売掛金・買掛金の管理、従業員の給与や社会保険料の計算など、非常に幅広い業務をカヴ…
「交番を扱った作品」の第三弾は、小路幸也『マイ・ディア・ポリスマン』(祥伝社文庫、2020年)。架空の町・奈々川市坂見町にある東楽観寺前交番に赴任して2カ月が経過したお巡りさん(ポリスマン)の宇田巡。同寺の跡取り息子で副住職でもある大村行成。小…