経済小説イチケンブログ

経済小説案内人が切り開く経済小説の世界

作品紹介

『三人屋』 - 朝は喫茶店、昼はうどん店、夜はスナック

商店には、多くの商品をワンストップで購入できるデパートや総合スーパーから非常に専門的な商品のみを販売する個人商店まで、さまざまな形があります。そのなかで、近年、注目されている業態として、「ハイブリッド店舗」があります。具体的には、ネット販…

『コレキヨの恋文』- 高橋是清の「経済学」が21世紀の日本で生かされる

「摩訶不思議な内閣を扱った作品」の第三弾は、三橋貴明『コレキヨの恋文 新米女性首相が高橋是清に国民経済を学んだら』(小学館、2012年)。政治経験が浅く、経済に関する知識や見識も乏しい新米の女性総理・霧島さくら子。年に一度、桜の季節に高橋是清(…

『史上最強の内閣』 - 有事に備えた極秘の内閣

「摩訶不思議な内閣を扱った作品」の第二弾は、室積光『史上最強の内閣』(小学館、2010年)。わが国が本物の危機に直面したときのためにあらかじめ用意されていた極秘の「一軍内閣」。日本を守るために登場したその内閣は、どのような働きをするのか? [お…

『もしも徳川家康が総理大臣になったら』 - AIとホログラムで復活した偉人たちの内閣

組織のリーダーたる者は、いかなるときでも、そのより良き未来を求めて努力するべき存在であってほしいものです。とはいえ、現状を大きく変える政策・方針を提示し、実行に移すのは、必ずしも容易なことではありません。とりわけ、ぬるま湯にどっぷりつかり…

『レバレッジ』 - レアメタルの争奪をめぐる資源メジャーと総合商社の暗闘

「商社マンを扱った作品」の第六弾は、大原省吾『レバレッジ』(双葉社、2013年)。イラク北部のクルド人自治区にある北部第一鉱区に、レアメタルのリチウムが埋蔵されているのではという情報を得た総合商社の五陵商事。資源メジャーもまた、同じ情報をゲッ…

『ブラック オア ホワイト』 - 「過ぎてしまえば、何もかもが夢のよう」

「商社マンを扱った作品」の第五弾は、浅田次郎『ブラック オア ホワイト』(新潮社、2015年)。祖父や父と同じ商社に勤務した都築栄一郎もすでに現役を引退し、社会的に隠遁した身。悔悟でも未練でもグチでもなく、「実現できなかった人生の一部」を「夢物…

『企業家サラリーマン』 - 商社がスーパーマーケットに参入しても……

「商社マンを扱った作品」の第四弾は、安土敏『企業家サラリーマン』(講談社文庫、1989年)。高度成長の終焉とともに「冬の時代」に入ったと言われた総合商社。活路のひとつに、いわゆる「川下作戦」があります。本書では、川下作戦がいかにむずかしいのか…

『常務会紛糾す』 - 高度成長が終わり、「冬の時代」に入った総合商社のあがき! 

「商社マンを扱った作品」の第三弾は、咲村観『常務会紛糾す』(講談社文庫、1984年)。オイル・ショックを契機として「冬の時代」に入った総合商社「東邦物産」が舞台。経営陣の古い体質と対決し、経営刷新に執念を燃やした商社マン・沢木健治の姿を描いた…

『商社一族 小説穀物戦争』 - 食糧危機とそれへの備え・対応策

「商社マンを扱った作品」の第二弾は、咲村観『商社一族 小説穀物戦争』(講談社文庫、1983年)。1970~80年代にあって、アメリカのカーギル、コンチネンタルグレイン、フランスのドレフィス、オランダのブンゲ、スイスのアンドレイ・ガーナックもしくはクッ…

『忘れられたオフィス』 - アフリカのワンマン・オフィス

日本に固有な商社はと言えば、海外では主流となっている専門商社ではなく、総合商社になります。それは、非常に幅の広い商品を扱い、業務内容も極めて多岐にわたります。いまでは、海外で仕事をすることは当たり前になっていますが、半世紀ほど前だと、まだ…

『野菜ソムリエ農家の赤井さん』 - 純粋で真面目な野菜農家の心の内

「お仕事いろいろ」というテーマのもと、紹介される作品の第四弾は、浜野稚子『野菜ソムリエ農家の赤井さん』(マイナビ出版ファン文庫、2020年)。大学生になり、料理の楽しさを見出した青田モモコ20歳。野菜に興味を持ったことから、野菜ソムリエの資格を…

『そうだ小説を書こう』 - 小説家になるために必要なことは? 

「お仕事いろいろ」というテーマのもと、紹介される作品の第三弾は、山本甲士『そうだ小説を書こう』(小学館文庫、2012年)。左遷と離婚を経験し、佐賀で一人暮らしを始めた山本宏司。まともな文章を書くことも怪しかった彼が、対話を拒否している一人息子…

『ワケアリ結婚相談所』 - あるべき相談員の姿とは? 

「お仕事いろいろ」というテーマのもと、紹介される作品の第二弾は、鳴海澪『ワケアリ結婚相談所-しくじり男子が運命のお相手、探します』(マイナビ出版ファン文庫、2016年)。自分の「しくじり」で離婚してしまった大和田大輔31歳。結婚相談所「愛・燦々…

『没落ピアノ先生。』 - 天才的ピアニストがピアノ教師に

厚生労働省が定めている職業分類によりますと、日本にある職種の数は約1万8,000種類を超えるようです。驚きですね。これだけあると、職種を聞いても、業務内容をイメージできないケースは非常に多いのではないでしょうか。さらに言えば、たとえよく耳にする…

『農村ガール!』 - 東京育ちの新米女性社員、ハンターになる! 

「農村を扱った作品」の第二弾は、上野遊『農村ガール!』(メディアワークス文庫、2018年)です。レストランに食材を供給するという大手企業「月見食品」。同社にあこがれ、就職できたことで、大喜びした大神 華。ところが、赴任先は秋田の山奥にある営業所…

『経済特区自由村』 - 自給自足のコミュニティーをつくれるのか? 

人口の少子化と高齢化が急ピッチで進んでいる日本。その影響が最も顕著にあらわれている領域に、農村があります。そこでは、担い手不足、耕作放棄地の急増、限界集落の増加など、深刻な多くの問題が未解決のまま。「小規模性、低生産性、低収益性」といった…

『蔦屋』 - 江戸時代に新企画の発掘に挑み続けた出版人

「はじめて物語」の第三弾は、谷津矢車『蔦屋』(学研パブリッシング、2014年)です。今年のNHK大河ドラマは、『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』。横浜流星さん演じる主人公・蔦屋重三郎は、江戸時代の出版人。芸術家・作家の才能を発掘した「プロデューサー」…

『菓商 小説 森永太一郎』 - 「日本初の洋菓子製造」に挑む

「はじめて物語」の第二弾は、若山三郎『菓商 小説 森永太一郎』(徳間文庫、1997年)。エンゼルマークで知られている森永製菓。その創業者で、「キャラメル王」と称された森永太一郎の一代記。艱難辛苦の連続だった彼の生涯、後世に伝えられるべきさまざま…

『黄金の刻 小説 服部金太郎』 - 「国産初の腕時計」に挑む

新年あけましておめでとうございます。あなたにとって、2025年が良い一年になることを願いながら、おもしろい経済小説・お仕事小説の紹介を続けていければと思っています。今年もまた、午前9時から午後5時までは、「仕事+趣味」の時間と位置づけ、なにかを…

『町工場からの宣戦布告』 - メインバンクや親会社との戦いの中で

「下請け企業を扱った作品」の第五弾は、北沢 栄『町工場からの宣戦布告』(産学社2013年)。モノづくりの集積地である東大阪市が舞台。小さな電機部品メーカー「ダイア産業」(従業員70名)を営んでいる湊京太。創業50周年の節目の年、親会社やメインバンク…

『下町ロケット ゴースト』 - モノづくりを極めたい。挑戦する経営者の夢と現実

「下請け企業を扱った作品」の第四弾は、池井戸潤『下町ロケット ゴースト』(小学館、2018年)。ずば抜けた開発力・技術力を有した中堅企業だと、下請け企業に関する一般的にイメージ-「親会社の言いなりになり、常に弱い立場に置かれてしまう」-とは異な…

『空洞産業』 - 産業の空洞化に抗する下請け企業経営者の苦悩

「下請け企業を扱った作品」の第三弾は、江波戸哲夫『空洞産業』(徳間文庫、1998年)。1985年のプラザ合意以降、急速な円高が進み、人件費が高騰しました。そうした環境変化に対応するために、多くの日本企業は、海外で現地企業を創設したり、部品調達を海…

『系列』 - 「運命共同体」か、それとも親会社の「景気調整弁」か? 

「下請け企業を扱った作品」の第二弾は、清水一行『系列』(集英社文庫、1995年)。日本の自動車メーカーはいわば「組立メーカー」。傘下に多くの下請け企業を抱えています。そうしたピラミッド型の組織のなかで、自動車メーカーは、下請け企業の株を20%以…

『湖底の光芒』 - 親会社の無理難題と下請け企業の怨念

製造業では従業員300人以下、サービス業であれば、従業員100人以下の企業は、中小企業と定められています。『中小企業白書』(2024年版)によると、国内の中小企業(336万4891社)で企業総数の99.7%、従業者数(3309万8442人)では全体の69.7%を占めています…

『ヤッさん』 - 築地市場と料理店を結ぶ「食の達人」はホームレス

「築地市場を扱った作品」の第二弾は、原宏一『ヤッさん』(双葉文庫、2012年)。主人公のヤッさんは、築地市場と料理店を行き来し、料亭でもホテルでも厚遇される不思議なホームレス。築地と料亭・レストラン・ホテルなどの料理人を結びつける優れたコーデ…

『築地魚河岸三代目』 - 仲卸の経営者になるはずの男は、魚のど素人

「東京で、美味しい魚を売っている市場はどこにあるのか」と尋ねられたら、多くの人は「築地」、2018年以降だと「豊洲」と答えるのではないでしょうか! 生鮮食料品を扱っている東京中央卸売市場「日本の台所」の一角を構成し、魚市場としての役割を果たして…

『集団左遷』 - 「無能」の烙印を押された50人のリストラ予備軍の奮闘

「左遷・降格を扱った作品」の第四弾は、江波戸哲夫『集団左遷』(祥伝社ノン・ポシェット、1995年)。バブル崩壊後の不況期、到底達成できない目標を課すことで、50名もの社員を解雇することを目的に、三有不動産の副社長が創設した「首都圏特販部」。本部…

『左遷社員池田リーダーになる』 - 「古き良き」企業文化を有する中堅メーカーの命運

「左遷・降格を扱った作品」の第三弾は、鈴木孝博『左遷社員池田リーダーになる』(リーブル出版、2016年)。ドレッシングやソースの製造・販売を手掛ける中堅メーカー「フリージア」の中堅社員である池田俊一が主人公。社員の意見をよく反映させ、一丸とな…

『偉大なる敗北者たち』 - ビジネススクールの研修生が描いた「天国と地獄」

「左遷・降格を扱った作品」の第二弾は、タマヤ学校VIP4・第5班、田山敏雄・監修『偉大なる敗北者たち』(経済界、2006年)。横浜の本社から大阪支社への配置転換のあと、今度は左遷の憂き目に会う森島英司30歳。彼は、逆境を克服するだけではなく、さらには…

『左遷』 - 中間管理職の悲哀が浮き彫りに

業績を上げたり、貢献したりする人は、報酬の引き上げや昇格・出世という形で報われる。逆に、大きなミスや失敗で、業績を悪化させた人には、降格や左遷などが待ち受けていることも。どちらも、会社員にとっては、ごく普通の出来事。ところが、一生懸命頑張…