経済小説イチケンブログ

経済小説案内人が切り開く経済小説の世界

作品紹介

『器に非ず』 - 社長の「器」とは? 

会社の発展のために決定的に欠かせない条件のひとつとして、「トップ(社長・会長)の力量」が挙げられます。いかに優秀な社員が揃っていたとしても、彼らの能力をうまく発揮させ、目標や課題に向けてコーディネートしていくリーダーがいなければ、組織は円…

『大班』 - 「中国人との付き合い方」+「中国ビジネスの極意」

「中国ビジネスを扱った作品」の第三弾は、加藤鉱『大班 世界最大のマフィア・中国共産党を手玉にとった日本人』(集英社、2015年)。昼間は官僚、夜は「マフィアのボス」。二つの顔を使い分ける中国人エリートたち。一方で、知らない間に、利益を抜かれる日…

『黄土の疾風』 - 日中両国を知り尽くしたがゆえの行動力

「中国ビジネスを扱った作品」の第二弾は、深井律夫『黄土の疾風』(ダイヤモンド社、2011年)。荒廃した中国農業の復興のみならず、自給率の低下、担い手不足、耕作地放棄が急速に進行している日本農業の危機をも克服するため、投資ファンド「疾風ファンド…

『周極星』 - 混沌さと不思議なバイタリティが共存する国=中国

2010年、日本を凌駕し、世界第二位の経済大国になった中国。現在では、一人当たりのGDPでも「高所得国」の水準に近づきつつあります。巨大な市場であり、「世界の工場」でもある同国に対する世界のビジネス界の関心は半端なものではありません。しかし、中国…

『メイド・イン・ジャパン』 - 粗悪品からの脱却に尽力する経営者の夢と挫折

「戦後復興期を扱った作品」の第三弾は、城山三郎の短編小説「メイド・イン・ジャパン」(『総会屋錦城』新潮文庫、1963年所収)。「私の夢は、メイド・イン・ジャパンと刻印した湿度計をアメリカに輸出すること!」 品質の改善に力の限りを尽くした湿度計メ…

『三等重役』 - 戦後派サラリーマン社長の心の揺れと不安

「戦後復興期を扱った作品」の第二弾は、源氏鶏太『三等重役』(新潮文庫、1961年)。1951年8月23日号から52年4月13日号の『サンデー毎日』に連載され、話題を呼んだサラリーマン・ユーモア小説。「三等重役」とは、公職追放によって、戦前からの経営者が多…

『小説GHQ』 - 戦後日本の始まりは、焼け野原の中での茫然自失から

1945年の終戦から高度成長が始まる1955年までの「戦後復興期」。日本ではまだ、戦災の爪痕が大きく残り、人々は物資・食糧の欠乏に苦しんでいました。焼け野原の中での茫然自失から始まった戦後日本の第一歩は、どのようなものだったのか? 歩むべき道など、…

『最後の総会屋』 - アイドル歌手を売り込んだ総会屋

「総会屋を扱った作品」の第三弾は、大下英治『最後の総会屋』(徳間文庫、1995年)。「広島グループ」と呼ばれ、女性デュエットのアイドル歌手である「ピンクレディー」を連想させる「フラワーレディー」の実質上のスポンサーでもあった総会屋が主人公。す…

『小説 総会屋』 - 総会屋の実態・やり口・ノウハウ! 

「総会屋を扱った作品」の第二弾は、三好徹『小説 総会屋』(集英社文庫、1983年)。総会屋の実態、やり口、ノウハウが見事に描かれています。1982年に、従来のような総会屋主導の株主総会を排除し、その健全性を回復することを目的として、商法が改正された…

『総会屋錦城』 - 企業の味方か、敵か? 

企業の株主総会がピークとなった2022年6月29日。東京証券取引所によると、3月期決算の上場企業の26%に当たる約600社で、株主総会が開かれました。コロナ禍を受け、オンライン開催が増加し、お土産の廃止も広がるなど、総会も様変わり。しかし、最も大きな変…

『ハゲタカ2.5 ハーディ』 - 外資の傘下に入ったミカドホテルの奪還劇

「ホテルを扱った作品」の第二弾は、日本を代表する老舗クラシックホテルを舞台にした真山仁『ハゲタカ2.5 ハーディ』(講談社文庫、2017年)。経営難に陥り、世界的なリゾートグループ「リゾルテ・ドゥ・ビーナス」傘下に入っていた日光ミカドホテルの創業…

『リベンジ・ホテル』 - 地域経済の「鏡」としてのコミュニティホテル

「ホテルを扱った作品」の第二弾は、危機に瀕するコミュニティホテルを描写した江上剛『リベンジ・ホテル』(講談社文庫、2012年)。東京郊外にあるコミュニティホテルの苦境と、再生に向けての諸方策がメインに扱われています。また、ホテルに勤務する人の…

『TEN』 - 日本最大のホテルチェーンの創設史

コロナ禍で人の移動が抑制され、大きく利用客が減ったものの、ここにきて、復調の兆しが見えつつある宿泊業。近い将来、本格的なインバウンドの到来とともに、業績回復が期待されています。今回は、宿泊業のうち、ホテルに焦点を合わせた作品を三つ紹介しま…

『投資アドバイザー有利子』 - 自己責任+リスクへの覚悟+アドバイス=資産運用

「証券会社を扱った作品」の第五弾は、幸田真音『投資アドバイザー有利子』(角川書店、2002年)です。顧客目線で資産運用の相談に乗ってくれる財前有利子(ざいぜん ありこ)のプライド・信念・生きがいが描写。また、運用されている金融商品、デイ・トレー…

『会社葬送』 - 山一證券の最後を看取った男たち

「証券会社を扱った作品」の第四弾は、江波戸哲夫『会社葬送 山一證券最後の株主総会』(新潮社、2001年)です。1897年に創業され、野村、大和、日興とともに「四大証券」の一角を担っていた山一證券。ところが、損失補填や「にぎり」など、相次ぐ不祥事を重…

『小説兜町』 - 株屋から証券会社へ:転換期の実相

「証券会社を扱った作品」の第三弾は、清水一行『小説兜町(しま)』(角川文庫、1983年)です。日本資本主義のメッカと称される株の町・兜町。そこで「最後の相場師」と言われつつも、「株屋から証券会社への近代化」の過程で、証券会社を追われていく山鹿…

『百戦百勝』 - 戦前の米相場と株相場がリアルに

「証券会社を扱った作品」の第二弾は、城山三郎『百戦百勝 働き一両・考え五両』(角川文庫、1979年)です。「山種証券」の創始者で、「相場の神様」と言われた山崎種二がモデル。寒村の貧しい農家で生まれ、東京の米問屋の小僧として働くようになる主人公の…

『大番』 - 証券会社の「昔と今」

東京証券取引所があり、「日本のウォール街」とも呼ばれている日本橋兜町。戦前は、「シマ」と呼ばれました。そこは、玄人の投資家や相場師たちが躍動する世界で、営業する証券会社は「株屋」と称されていました。ところが高度成長期、「素人の個人投資家」…

『ドッグファイト』 - 運送会社と巨大外資系ネット通販との戦い

「運送会社を扱った作品」の第三弾は、楡周平『ドッグファイト』(角川書店、2010年)です。日本で最大手の運輸会社・コンゴウ陸送(資本金600億円、売上高1兆4000億円、従業員数14万人)と、グローバルに事業を展開する外資系ネット通販・スイフトとの壮絶…

『ラストワンマイル』 - 運送会社の真価・存在意義

「運送会社を扱った作品」の第二弾は、楡周平『ラストワンマイル』(新潮社、2006年)です。巨大な郵政と、肥大化するIT企業との戦いを強いられた暁星運輸は、いかなる方策でその戦いに打ち勝とうとするのでしょうか? 武器となるのは、「物流業がすべての産…

『再生巨流』 - 運送会社の再生劇

いまでは日常生活に深く浸透しているサービスのひとつに、「宅配」があります。荷造りさえすれば、運送会社のドライバーが自宅まで取りにきて、配送先まで荷物を送り届けてくれます。また、ネットでモノを注文すれば、自宅を一歩も出ることなく、それを受け…

『新人OL、つぶれかけの会社をまかされる』 - 危機に陥ったレストランの再生劇

「イタリアン・レストランを扱った作品」の第三弾は、佐藤義典『新人OL、つぶれかけの会社をまかされる』青春出版社、2010年)です。危機に陥ったレストランの再生を図るための方策・考え方とは、いかなるものなのか? 店づくりのコンセプトをどのように確立…

『トラットリア・ラファーノ』 - 神戸・元町の イタリアン・レストラン

「イタリアン・レストランを扱った作品」の第二弾は、上田早夕里『トラットリア・ラファーノ』(ハルキ文庫、2017年)です。神戸・元町にある「トラットリア・ラファーノ」が舞台。お店の運営、料理の開発・勉強、店の雰囲気づくり、店内で流す曲の選定など…

『トラットリア代官山』 - 本で味わうイタリア料理

わが国で西洋を代表する料理として定着しているフレンチとイタリアン。ソースが「命」と言われるように、複雑に調理された凝った料理が多いフレンチとは異なって、あまり手を加えず、素材の持ち味を活かした調理法が基本のイタリアン。素材を活かすという点…

『団塊の後』 - 団塊の世代は「負の遺産」を残したのか? 

「団塊の世代を扱った作品」の第三弾は、堺屋太一『団塊の後 三度目の日本』(毎日新聞出版、2017年)。「団塊の後」、すなわち「団塊の世代を父に持つ世代」に属する人たちの動きに焦点が当てられています。2026年の日本が抱えている数々の難題、それをもた…

『団塊の秋』 - 「団塊の世代」の「歩んだ道」と「これからの道」

「団塊の世代を扱った作品」の第二弾は、堺屋太一『団塊の秋』(祥伝社、2013年)です。1947年から49年にかけて生を受けた「団塊の世代」がいかなる人生をたどったのか、そして2015~28年にはどのように人生を歩んでいくことになるのか? 想定外の事態に直面…

『団塊の世代』 - 日本経済を発展させた「功労者」か? 低迷の元凶か? 

「団塊の世代」とは、1947年から49年にかけての戦後ベビーブームの時代に生まれた世代を指しています。その用語を生み出したのは、通産省の官僚であった堺屋太一が書いた小説『団塊の世代』(1976年)です。なにしろ、3年間の合計出生者がおよそ800万人とい…

『読むだけでお金の増やし方が身につく 京都かけだし信金マンの事件簿』 - 地域密着型金融機関のあり方

「地域金融機関を扱った作品」の第三弾は、菅井敏之、お金総合研究所『読むだけでお金の増やし方が身につく 京都かけだし信金マンの事件簿』(アスコム、2017年)です。地域密着型の金融機関の代表格でもある信用金庫が舞台。京都ならではの商慣習に戸惑いつ…

『小説 火ノ国銀行 第2弾 パニックバンク』 - 地銀権力者が生み出す「負の連鎖」

「地域金融機関を扱った作品」の第二弾は、中村仁『小説 火ノ国銀行 第2弾 パニックバンク』(兼六館出版、2011年)です。九州中央部を地盤とする「火ノ国銀行」を舞台に、独裁者として君臨し、「負の連鎖」を引き起こすことになる男の「悲しい性」が浮き彫…

『ローカルバンカー』 - 地域金融機関の実態と「あるべき姿」! 

2022年3月8日~3月22日の本ブログにおいて、全国展開からさらにはグローバルな規模での事業展開を行っているメガバンクの今日的状況を探るべく、五つの作品を紹介しました。そして、「健全な経済活動の潤滑油となる資金を供給し、企業を支え、取引先とともに…