「鉄鋼業を扱った作品」の第三弾は、阿川大樹『幸福な会社』(徳間文庫、2011年)です。かつて「鉄は国家なり」「鉄は産業の米」と言われ、日本の経済発展を支えた鉄鋼業。ところが、リーマンショック後の不況下で、業績の低迷にあえいでいます。苦境に陥っ…
「鉄鋼業を扱った作品」の第二弾は、小野正之『鉄人伝説 小説新日鐵住金』(幻冬舎ルネッサンス、2013年)です。戦後の高度成長を支え、産業界を牽引した鉄鋼業の中心的存在であったのは、八幡製鉄と富士製鉄の合併によって世界一となった新日鐵でした。その…
工業国において最も基幹的な産業としての地位を保ち続けている鉄鋼業。日本では、2019年の粗鋼生産量で世界第3位にランクされている日本製鉄を筆頭に、第11位のJFEスチール(元川崎製鉄)や第55位の神戸製鋼所といった大企業が存在しています。いまでこそ、…
「働く女性を扱った作品」の第五弾は、出版社の校閲部に勤務する女性社員を扱った宮木あや子『校閲ガール』(KADOKAWA、2014年)。憧れていたポジションとは異なり、まったくオシャレとは言い難い不本意な部署で働くことになった女子社員の労苦と嘆きが描か…
「働く女性を扱った作品」の第四弾は、翻訳者の喜びと苦労を綴った千梨らく『翻訳ガール』(宝島社文庫、2014年)です。「原書から受けるイメージが、ほとんどそのまま残されている」。そうした翻訳が実現されるには、その内容をとことん理解したうえ、日本…
「働く女性を扱った作品」の第三弾は、清掃会社で働く女性を描いた加藤実秋『モップガール』(小学館文庫、2009年)です。事件・事故現場の後始末という「特殊清掃」を請け負っている清掃会社の清掃員。一般的な清掃会社とはまた異なり、驚きや苦労が絶えま…
「働く女性を扱った作品」の第二弾は、バイク便運営会社の配達員を描いた美奈川護『特急便ガール!』(メディアワークス文庫、2011年)です。バイク便運営会社で働くことになった女性配達員・吉原陶子。突然、常識人の理解の範疇を越える「瞬間移動」という…
令和元年における女性の労働力人口は3058万人。男性の3828万人と比べると、少ないものの、労働力人口に占める女性の割合は44.4%に達しています。いまでは、女性がいない職場自体、非常に少なくなっていると言っても過言ではありません。それゆえ、働く女性…
「職探しを扱った作品」の第三弾は、就職三年目に勤務先である大手広告代理店からの退職を余儀なくされた女性・未谷千晴の転職とその後の活躍を描いた額賀澪『転職の魔王様』(PHP研究所、2021年)。学生であれ、社会人であれ、就職活動をする者にとって最も…
「職探しを扱った作品」の第二弾は、女子大生の就活を描いた三浦しをん『格闘する者に○(まる)』(新潮文庫、2005年)です。「誰にも何も干渉されず、好きなことを好きなだけ自分のペースでやる」。そのような気持ちで大学生活を送っている「マイペース人間…
大学で教鞭をとっていた頃、数多くの学生たちと話をしました。彼らの一番の悩み事といえば、やはり就職活動と関係するものでした。確かに、何千何万もの職業のなかから自分の道を選ぶのは、けっして簡単なことではありません。学生たちの多くは、「選ぶこと…
「メガバンクを扱った作品」の第五弾は、江上剛『Disruptorディスラプター 金融の破壊者』(光文社、2021年)です。ディスラプターとは、破壊者のこと。ただ、「単なる破壊者」である「デストロイヤー」とは異なり、「新しい状況や秩序」を生み出す破壊者の…
「メガバンクを扱った作品」の第四弾は、波多野聖『メガバンク絶滅戦争』(新潮社、2015年。文庫化改題『メガバンク最終決戦』2016年2月)です。売国奴の陰謀によって危機に陥ったメガバンクを救うために、同行の「辣腕ディーラー」である桂光義専務と「気配…
「メガバンクを扱った作品」の第三弾は、高杉良『銀行大統合』(講談社、2001年。その後、『銀行大統合 小説みずほFG』に改題)です。メガバンク創設を軸とした金融業界の大再編の引き金となった「みずほフィナンシャルグループ」誕生までのプロセスを実名で…
「メガバンクを扱った作品」の第二弾は、江波戸哲夫『ジャパン・プライド』(講談社、2009年)です。日本経済の最前線で働く人々、とりわけリーマン・ショックと立ち向かったバンカーたちの姿をリアルに描いた作品。舞台はメガバンクの東西銀行。登場人物が…
経済小説の対象としてしばしば取り上げられてきた業種のひとつに、銀行があります。その理由は、銀行が経済活動の潤滑油として機能する「お金」を個人・企業・自治体・国などに送り込むというきわめて重要な役割を果たしてきたからであると言っても過言では…
「闇ビジネスを扱った作品」の第四弾は、「捌き屋(さばきや)」と称される企業コンサルタントを素材にした浜田文人『捌き屋 盟友』(幻冬舎文庫、2018年)。表には出ない企業間のやっかいなトラブルを秘密裏に解決する稼業があります。「企業交渉人」とか「…
「闇ビジネスを扱った作品」の第三弾は、産廃ビジネスを素材にした黒川博行『疫病神』(新潮文庫、1997年)です。大阪が舞台。産廃ビジネス・産廃業界の実態と「ややこしさ」がよく描かれています。「毒は毒をもって制す」、つまりヤクザを使ってヤクザを抑…
「闇ビジネスを扱った作品」の第二弾は、「半グレ集団」を素材にした新野剛志『ヘブン』(幻冬舎、2018年)です。東京を牛耳ろうと、後ろ盾となっていた暴力団に歯向かい、失敗した「半グレ集団」。そのナンバー2の男が、主に覚醒剤ビジネスでの覇権をめざ…
「闇ビジネス」あるいは「裏ビジネス」といった言葉。公的な数値や統計などには一切あらわれない世界。完全に非合法と言える行為だけではありません。合法と非合法の挟間にある「グレーゾーン」まで視野に入れると、そこには、非常に幅広い種類・職種・領域…
「国会議員を扱った作品」の第三弾は、黒野伸一『国会議員基礎テスト』(小学館文庫、2020年)です。「民主主義国家」と言われている日本。しかし、テレビに出ているので投票しようと安易に決めてしまう国民。社会が不安定になったり、生活が苦しくなったり…
「国会議員を扱った作品」の第二弾は、高嶋哲夫『衆愚の果て』(幻冬舎文庫、2012年)です。半年前には「染みのついたTシャツに破れたジーンズ姿」のプータローだった男。政党が行った議員公募に応募し採用された後の選挙で当選し、衆議院議員になります。そ…
衆議院と参議院の違いはありますが、国会議員とは、ルール(法律)や方向性(政策)を定めたり、税金の使い方を決めたりして、安全で暮らしやすい国にする活動を仕事にしている人のこと。国民の利害を代弁し、国の将来計画・ビジョンを示すことが求められる…
「商社を扱った作品」の第五弾は、永崎将利『小さな宇宙ベンチャーが起こしたキセキ』(アスコム、2020年)です。2017年9月、日本初となる「宇宙商社」Space BDを創業し、たった3年でNASAやJAXAとの協業を果たした代表取締役社長・永崎将利による実話に基づ…
「経済小説イチケンブログ」を始めて、ちょうど3年が経過しました。この1年間、「作品紹介」の中で取り上げた作品数は103点。取り上げたテーマ数は37でした。テーマについては、以下の表に示されるように、経済や企業の動向、業界・業種、仕事・働く人など、…
「商社を扱った作品」の第四弾は、百波秋丸『三ツ星商事グルメ課のおいしい仕事』(メディアワークス文庫、2014年)です。会社の経費で「不要な食事」を繰り返していると勘ぐられている総務部グループリソースメンテナンス課(グルメ課)。ところが、そこに…
『不毛地帯』と『空の城』の二作品では、高度成長期における総合商社の変化が扱われていました。その時代の商社にとって、大きな変化とは、主に取り扱うモノが一層拡充されていくプロセスでした。それに対して、バブル崩壊後における商社の変化は、モノだけ…
「商社を扱った作品」の第二弾は、松本清張『空の城』(文春文庫、1982年)です。1904年に安宅弥吉が創設。官営八幡製鉄の指定商社として、国内の鉄鋼市場に強力な地盤を築き上げた安宅産業。しかし、NRC(ニューファンドランド・リファイニング・カンパニー…
就職ランキングで上位を占めている業界のひとつに商社があります。高給取り、海外勤務、ブランド力などが、人気の理由になっているようです。とはいえ、多くの就活生のイメージは、「ラーメンからミサイルまで」と多彩な商品を扱うことや、商社ビジネスの基…
2022年1月21日、角川文庫から『明日はきっと-お仕事小説アンソロジー』が出版されました。収録されている作品は、新野剛志さんの「笑って、笑って」、沢村凛さんの「部下の迷い」、宮木あや子さんの「校閲ガール!?」、久保寺健彦さんの「仕事の仕事」、坂木…