経済小説イチケンブログ

経済小説案内人が切り開く経済小説の世界

『わたし、定時で帰ります。』 - しっかり仕事して、定時で帰る。なぜいけないの? 

経済小説って、なんだか難しそう! そのようなイメージを持っておられる方が多いかもしれませんね。でも、あの小説も実は経済小説なのですよ。そうした事実を知ってもらいたいという思いで、今日から、数回にわたって、「ドラマの原作本」を紹介していきたいと思います。案外、経済小説というものが身近に感じられるのではないでしょうか? 

「ドラマの原作本」の第一弾は、朱野帰子『わたし、定時で帰ります。』(新潮社、2018年)。経済小説の一ジャンルである「お仕事小説」の代表作のひとつと言えるでしょう。今年の4月からTBSの火曜ドラマ『わたし、定時で帰ります。』として放映される予定です。曲者の「ブラック上司」や、ユニークな同僚たちの間で奮闘するワーキングガールに扮するのは吉高由里子さん。彼女が躍動する姿が楽しみですね。

 

[おもしろさ] 「定時で帰る」が次世代ワーカーを創る?!

しっかり仕事して、定時で帰りたい。そのように思っている人がたくさんいます。しかし、現実には、多くの職場で、そのような人を歓迎しない雰囲気があるようです。例えば、「小さい子がいて、どうしても帰宅しなければいけない事情ができました。だから、残業できません」。そうしたことを堂々とは言いにくいという状況の背景には、「仕事っていうのは、死ぬ気でやらなきゃいけないんですよっ」という根性論が依然として根強く残っているのかもしれません。この本は、「定時で帰る女性」という、「新時代を象徴する女性」を主人公にして、彼女が巻き起こす波紋をビビッドに描いた作品。「働き方改革」で残業のあり方にメスが入れられるという昨今の状況のなか、むしろ「しっかり働き、定時で帰る」という姿勢こそが次世代ワーカーを創っていくための条件整備につながっていくのではないでしょうか? 

 

[あらすじ] 絶対に残業しないというモットーを覆す案件発生! 

従業員300名のIT企業で働く会社員の東山結衣(32)は、仕事はきちんとこなすが、絶対に残業しないと決めています。2年前に別れた元恋人の種田晃太郎が同じ会社に転職し、いまでは同じチームで彼女の上司として働いています。ある日、新しいマネージャーの福永清次が、無謀とも言える案件を受注してきたことで、周りの人たちの勤務体制が大きく圧迫されることになります。そこで、結衣が行ったことは? 

 

わたし、定時で帰ります。 (新潮文庫)

わたし、定時で帰ります。 (新潮文庫)

 
わたし、定時で帰ります。 ハイパー

わたし、定時で帰ります。 ハイパー

 
わたし、定時で帰ります。―ライジング―

わたし、定時で帰ります。―ライジング―