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『億男』 - 宝くじで当てた3億円を親友に持ち逃げされる!  

「おカネを題材にした作品」の第二弾は、川村元気億男』(マガジンハウス、2014年)です。宝くじで3億円を当てた男と、ベンチャーを起業して大富豪となった男のおカネをめぐる物語です。2018年に佐藤健さんや高橋一生さんが出演した映画『億男』の原作本。

 

[おもしろさ] 「お金と幸せの答え」を探求する! 

「お金があれば幸せだ、ということをもはや誰も信じていない……。だが、お金がなくても幸せだ、というのがまやかしであることも皆が知っている」。では、「お金と幸せ」について、どう考えればよいのでしょうか? 本書は、お金に困って、懸命に働いている一男と、若い頃に大金を稼ぎ出した九十九という二人の男を登場させ、15年間という歳月の流れを通して「お金と幸せの答え」を探求しています。この本の読みどころは、そのプロセスのおもしろさにあります。また、大金を得たときの心境にも言及されています。

 

[あらすじ] 数字を足せば「百」になる一男と九十九の関係とは 

図書館司書の一男が主人公。失踪した弟のつくった3000万円の借金を肩代わりした彼は、妻と一人娘と別居し、夜もパン工場でベルトコンベアの前に立っています。ある日のこと、一男は宝くじで3億円を当てます。心が落ち着かないまま、ネットを見ますと、そこには、世界中での宝くじ高額当選者の悲劇があふれていました。彼は、大富豪となった親友の九十九のもとを訪問。彼は、落語研究会でいつも一緒の学生時代を過ごした人物でした。すでに大学時代に株の取引で、1億円以上を稼ぎ出しています。その後、「SNS系のネットベンチャを立ち上げ、大当たりして、時価総額はもう1000億円を超える」と言われています。タワービルに住む九十九とは、15年ぶりの再会でした。しかし、九十九は、3億円が入った旅行カバンを持って失踪してしまうのです。こうして、九十九を追跡する一男の追いかけ劇がスタートすることになります。

 

億男 (文春文庫)

億男 (文春文庫)