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『あずかりやさん』 - 「一日百円でなんでもあずかります」

「すきま仕事を扱った作品」の第三弾は、大山淳子『あずかりやさん』(ポプラ文庫、2015年)です。「明日町こんぺいとう商店街」の西端にある「あずかりや・さとう」。店主は、盲目の若者・桐島透。7歳で視力を失ってからもう20年が経過しています。そんな店主と、さまざまな事情を抱える「お客さま」との交流、あずけられたものに宿る「人間ドラマ」が穏やかなタッチで描かれています。「あずかりやさん・シリーズ」(全5巻)の第一作目。2019年11月11日~11月15日に放送されたNHK FMのオーディオドラマ(全5回)の原作。

 

[おもしろさ] 「目が不自由なことも幸いしたのでしょう」

「あずかってと言われたものをあずかり、それがどんなだろうと、一日百円。最初に期限を決めて前払いしてもらい、期限が過ぎても取りに来なかったら、あずかりものはいただきます。そして、売れるものは売り、使えるものは使い、処分すべきものは処分する」のです。質屋とよく似ていますが、決定的に違うのは、「お金をいただいてあずかる」ところ。あずかる行為を純粋に仕事としているのです。「目が不自由なことも幸いしたのでしょう。あずかりものを読んだり見たりできませんし、お客さまの顔を見ることはできません。お客さまの側からすれば、プライバシーは守られ、安心してものをあずけることができます」。また、店主にとっても、あずかりものと距離をおくことができるおかげで、この仕事を続けていられるのかもしれません。本書の魅力は、そうした「奇妙な商売」であるがゆえのいろいろな展開を楽しめるところにあります。また、お店の「のれん」、あずけられた「自転車」、店内の「ガラスケース」、「お客さま」、「猫」といった、文字通り「多様な目線からの叙述」になっている点もユニーク。

 

[あらすじ] こんなものからあんなものまで

「あずかりや・さとう」には看板がありません。藍染めのシンプルなのれんに「さとう」というやさしげなひらがなが白抜きされているだけです。一歩中に入ると、店主の桐島透が座っていて、点字の本を読んでいます。元は和菓子屋「菓子処・桐島」でしたが、家族が居なくなり、彼はひとり残されたのです。そして、17歳のとき、経験した「ある出来事」を契機に、「あずかりや」という商売を思いついたのです。それは、夜中にいきなりガラス戸を叩く音がしたので、鍵を開けると、男がいきなり入ってきたことに端を発します。透の目が見えないことに気づいた男は、新聞紙に包んだものを渡し、言いました。「あずかってほしい。押し入れでも箪笥でも屋根裏でもいい。お前しか触れない場所に隠しておいてくれ。二週間経ったら取りに来る。二週間たっても来なかったら、お前にやる」と。15分後、あずかり賃を置き、真田幸太郎という名を名乗って消えていきました。真田とは、国会議員傷害容疑で指名手配され、のちに逮捕された人物。犯行に使われた銃は所持していませんでした。あれから10年。真田という人物はまだあずけたものを取りにきていないのです。こうしてスタートしたあずかりや・さとうには、実に多様なものが持ち込まれました。おひなさま、エンゲージリング、かつら、枕、日本酒、遺書、バイオリン、骨壺、位牌など。家族に見られたくないもの、一時的に離れていたいもの、さらには、「捨てる決心がつかないものへの執行猶予期間として、あずける人もいます」。店主はそれがなんなのか、どういう経緯であずけるのかなどなど、いっさい尋ねません。「好奇心を封印した店主のやり方は正解で、これこそが誠意あふれるサービス」と言えるのかもしれません。

 

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