経済小説イチケンブログ

経済小説案内人が切り開く経済小説の世界

2022-05-01から1ヶ月間の記事一覧

『トラットリア代官山』 - 本で味わうイタリア料理

わが国で西洋を代表する料理として定着しているフレンチとイタリアン。ソースが「命」と言われるように、複雑に調理された凝った料理が多いフレンチとは異なって、あまり手を加えず、素材の持ち味を活かした調理法が基本のイタリアン。素材を活かすという点…

『団塊の後』 - 団塊の世代は「負の遺産」を残したのか? 

「団塊の世代を扱った作品」の第三弾は、堺屋太一『団塊の後 三度目の日本』(毎日新聞出版、2017年)。「団塊の後」、すなわち「団塊の世代を父に持つ世代」に属する人たちの動きに焦点が当てられています。2026年の日本が抱えている数々の難題、それをもた…

『団塊の秋』 - 「団塊の世代」の「歩んだ道」と「これからの道」

「団塊の世代を扱った作品」の第二弾は、堺屋太一『団塊の秋』(祥伝社、2013年)です。1947年から49年にかけて生を受けた「団塊の世代」がいかなる人生をたどったのか、そして2015~28年にはどのように人生を歩んでいくことになるのか? 想定外の事態に直面…

『団塊の世代』 - 日本経済を発展させた「功労者」か? 低迷の元凶か? 

「団塊の世代」とは、1947年から49年にかけての戦後ベビーブームの時代に生まれた世代を指しています。その用語を生み出したのは、通産省の官僚であった堺屋太一が書いた小説『団塊の世代』(1976年)です。なにしろ、3年間の合計出生者がおよそ800万人とい…

『読むだけでお金の増やし方が身につく 京都かけだし信金マンの事件簿』 - 地域密着型金融機関のあり方

「地域金融機関を扱った作品」の第三弾は、菅井敏之、お金総合研究所『読むだけでお金の増やし方が身につく 京都かけだし信金マンの事件簿』(アスコム、2017年)です。地域密着型の金融機関の代表格でもある信用金庫が舞台。京都ならではの商慣習に戸惑いつ…

『小説 火ノ国銀行 第2弾 パニックバンク』 - 地銀権力者が生み出す「負の連鎖」

「地域金融機関を扱った作品」の第二弾は、中村仁『小説 火ノ国銀行 第2弾 パニックバンク』(兼六館出版、2011年)です。九州中央部を地盤とする「火ノ国銀行」を舞台に、独裁者として君臨し、「負の連鎖」を引き起こすことになる男の「悲しい性」が浮き彫…

『ローカルバンカー』 - 地域金融機関の実態と「あるべき姿」! 

2022年3月8日~3月22日の本ブログにおいて、全国展開からさらにはグローバルな規模での事業展開を行っているメガバンクの今日的状況を探るべく、五つの作品を紹介しました。そして、「健全な経済活動の潤滑油となる資金を供給し、企業を支え、取引先とともに…

『小説 吉本興業』 - 林正之助が創出した吉本興業ワクワク史

「吉本興業を扱った作品」の第二弾は、難波利三『小説 吉本興業』(文春文庫、1991年。のちに『笑いで天下を取った男 吉本王国のドン』ちくま文庫、2017年と改題)です。吉本興業の歴史に彩を添えた人物として挙げられる「創業者・吉本せい」と「発展の主導…

『花のれん』 - モデルは吉本興業の創業者=吉本せい

2022年4月に創業110年を迎えた吉本興業ホールディングス。1960年代の演芸ブーム、80年代の漫才ブーム、90年代におけるダウンタウンの大活躍と、テレビとのタッグを通して全国区に押し上げられ、いまでは「一大お笑い企業」になっています。3月には「BSよりも…