経済小説イチケンブログ

経済小説案内人が切り開く経済小説の世界

2019-08-01から1ヶ月間の記事一覧

『男役』 - 宝塚の男役になるために必要なことは? 

「俳優を扱った作品」の第二弾は、中山可穂『男役』(角川書店、2015年)。宝塚歌劇団とタカラジェンヌをモデルにした、中山可穂版「オペラ座の怪人」ともいうべき作品です。同じ著者の手による姉妹版として、『娘役』が刊行されています。 [おもしろさ] 男…

『俳優・亀岡拓次』 - 端役という名の名優

8月末とはいえ、まだまだ暑い日が続いています。でも、たとえ厳しい暑さのなかでも、非日常的な世界をつくりだし、多くの人々に楽しいひとときを演出してくれる人たち。そうした人たちを最も身近に感じられる仕事に、俳優業があります。そこで今回は、「俳優…

『県庁おもてなし課』 - 行政と観光特使のコラボレーション

「地域の活性化を扱った作品」の第四弾は、有川浩『県庁おもてなし課』(角川書店、2011年)です。観光立県をめざす高知県を舞台に展開される新設された「おもてなし課」の職員たちと、観光特使に任命された地元出身の若手作家の奮闘ぶりを描いた作品。2013…

『ローカル線で行こう!』 - 鉄道を軸にした「地域の再生」

「地域の活性化を扱った作品」の第三弾は、真保裕一『ローカル線で行こう!』(講談社、2013年)。メインストーリーは、新たに社長に就任した女性が破産寸前のローカル線を再生するという話。しかし、その鉄道自体が地域経済の動脈です。そうした動脈を維持…

『プラチナタウン』 - 元商社マンの町長が挑む起死回生の町おこし

「地域の活性化を扱った作品」の第二弾は、楡周平『プラチナタウン』(祥伝社、2008年)。財政破綻寸前の田舎町の町長に就任した元商社マンが、「逆転の発想」で町の再生に挑む物語です。2012年にWOWOWで放映された連続ドラマW『プラチナタウン』の原作本。…

『そうだ、星を売ろう』 - 「コトづくり」を軸にしたビジネスモデルの構築

2019年のお盆休み。8月10日(土)から18日(日)までの9連休になる人も多いようです。期間中、ふるさとに帰省する人がたくさんおられることでしょう。大都市から地方に移動すると、真っ先に目にするのは、人の密度が希薄になることです。事実、多くの地方は…

『車夫』 - 人力車の魅力が120%描かれています

「旅行・観光を扱った作品」の第五弾は、浅草を舞台に、人力車をひく人とそれに乗る人とのほのぼのとした心の交流を描いた、いとうみく『車夫』(2015年)です。観光地ではよく見かける人力車。とりわけ、浅草の人力車の数は、半端ではありません。雷門のす…

『あぽやん』 - 空港でのトラブル解決、お任せください

「旅行・観光を扱った作品」の第四弾は、新野剛志『あぽやん』(文藝春秋、2008年)です。タイトルにある「あぽやん」とは、「あぽ」(APO)=「空港」(Airport)という略語に由来する旅行業界用語。空港で働く旅行会社のスタッフを意味しています。本書は…

『駅物語』 - 「東京駅」の舞台裏をお教えします! 

「旅行・観光を扱った作品」の第三弾は、東京駅をモデルに鉄道・駅で働く人を描いたお仕事小説である朱野帰子『駅物語』(講談社、2013年)。実にたくさんの人々が行きかう巨大なターミナル駅には、無数の物語があるのです。 [おもしろさ] 駅員をはけ口の対…