経済小説イチケンブログ

経済小説案内人が切り開く経済小説の世界

2019-03-01から1ヶ月間の記事一覧

『フルタイムライフ』 - 女性新入社員が初めて経験する「はたらく生活」

4月1日、今年もまた、数多くの新入社員が、希望を胸に社会人としての第一歩を踏み出します。反面、どのような服を着て出勤すればよいのかといったことから、どのようにして新しい職場や仕事に慣れていけばよいのかといったことまで、不安や心配事もまた多い…

『輝跡』 - プロ野球選手の光と影を女性の視点から描く

「プロ野球を扱った作品」の第三弾は、柴田よしき『輝跡(きせき)』(講談社、2010年)。「カープ女子」「オリ姫」「ハム女」といった言葉に示されているように、女性のプロ野球ファンが増えています。大のプロ野球ファンである著者の手によるこの本は、プロ…

『代理人』 - 将来を含めて選手を本気で守る辣腕代理人とは? 

「プロ野球を扱った作品」の第二弾は、本城雅人『代理人(エージェント)』(実業之日本社、2017年)。代理人とは、選手と球団との交渉を手助けする者のこと。アメリカの場合、代理人制度は1970年代には定着し、20~30人の選手と契約している代理人もいるよ…

『ザ・ウォール』 - オーナーの「夢」と監督の「めざすもの」

3月29日、プロ野球の公式戦が始まります。そこで、三回にわたり「プロ野球を扱った作品」を紹介します。プロ野球には、選手、監督・コーチ、球団の経営陣のみならず、代理人やスカウトなども含めて、多くの職業人が関わっています。それはまた、たくさんの「…

『ハロワ!』 - 就職相談員のリアル。苦悩とやりがいのはざま

「就職活動を考える作品」の第五弾は、久保寺健彦『ハロワ!』(集英社、2011年)です。ここまでの4つの作品は、大学生やフリーターの就職活動と採用側の求人活動を対象にしたものでした。今回は、ハローワークと言われる「職業安定所」を舞台に、相談員の視…

当日のご質問にお答えしました - 講演会の続報

経済小説案内人イチケンです。2月9日に東京都立中央図書館で開催された講演会については、すでに紹介したとおりです。講師は小説家の碧野圭さんと私。タイトルは「お仕事小説から考える女性の働き方」でした。この度、「当日の様子」(講演内容、参加者の声…

『あの子が欲しい』 - 採用する側にも悩みと不安があるのです

「就職活動に役立つ作品」の第四弾は、朝比奈あすか『あの子が欲しい』(講談社、2015年)。『シューカツ!』『就活の神さま』『フリーター、家を買う』の三冊はすべて、就活する方の立場から書かれたものでした。他方、ネット時代の就活を描いた本書は、学…

『フリーター、家を買う』 - 「甘ったれ」のガキが社会人に変身していく

「就職活動に役立つ作品」の第三弾は、有川 浩『フリーター、家を買う』(幻冬舎、2009年)。「フリーターからの脱出」「等身大の若者」「親子関係の断絶と修復」などを扱った本書では、「フリーターの就職活動」が登場します。入社試験の結果は、採用か不採…

『就活の神さま』 - 「ごくフツーの学生」の就活物語

「就職活動を考える作品」の第二弾は、常見陽平『就活の神さま』(WAVE出版、2011年)です。一弾目の『シューカツ!』の登場人物が、どちらかといえば「優等生」だったのに対して、この本の主人公は「ごくフツーの学生」です。全く自信のなかった主人公が、…

『シューカツ!』 - マスコミ合格を目標に掲げた学生7人の挑戦

3月1日、来春大学を卒業する学生に向けた企業説明会が「解禁」されました。就職活動の本格始動です。そこで、今回から、五回にわたって、「就職活動を考える作品」を紹介します。実社会への窓口となる就職活動。それは、それまでもっぱら「消費者」として経…

『価格破壊』 - スーパーマーケットの定着を阻んだ高い壁

「企業をモデルにした作品」の第六弾は、城山三郎『価格破壊』(角川文庫、1975年)です。この本は、日本にスーパーマーケットを定着させる過程で大きな役割を果たしたダイエーと、その創業者で流通革命の旗手と称された中内功をモデルにしています。同社は…

『お家さん』 - かつては日本一の商社であった鈴木商店の立役者

「企業をモデルにした作品」の第五弾は、玉岡かおる『お家さん』(上下巻、新潮文庫、2010年)です。大正から昭和の初めにかけて、三井や三菱を凌ぎ、日本一の年商を誇った巨大商社・鈴木商店の成り立ち・発展・没落の歴史が、「お家さん」と称された同店女…

『トヨトミの野望』 - グローバル自動車企業の光と影

「企業をモデルにした作品」の第四弾は、梶山三郎『トヨトミの野望』(講談社、2016年)です。1990年代以降にトヨトミ自動車がたどった歴史が描かれています。トヨトミ自動車のモデルと目されているのは、世界最大級の自動車会社・トヨタです。企業が大きく…

『本屋稼業』 - 紀伊國屋書店:文化の創造を志向し続けた本屋の歴史

「企業をモデルにした作品」の第三弾は、波多野聖『本屋稼業』(角川春樹事務所、ハルキ文庫、2017年)。紀伊國屋書店の誕生・発展のプロセスを実名で描いた作品です。1927年、田辺茂一が21歳の時に創業したのが紀伊國屋書店。戦後の46年に法人化され、株式…