経済小説イチケンブログ

経済小説案内人が切り開く経済小説の世界

2022-02-01から1ヶ月間の記事一覧

『ヘブン』 - 「半グレ集団」と暴力団

「闇ビジネスを扱った作品」の第二弾は、「半グレ集団」を素材にした新野剛志『ヘブン』(幻冬舎、2018年)です。東京を牛耳ろうと、後ろ盾となっていた暴力団に歯向かい、失敗した「半グレ集団」。そのナンバー2の男が、主に覚醒剤ビジネスでの覇権をめざ…

『底なし沼』 - 闇ビジネスの恐ろしさとドス黒さ

「闇ビジネス」あるいは「裏ビジネス」といった言葉。公的な数値や統計などには一切あらわれない世界。完全に非合法と言える行為だけではありません。合法と非合法の挟間にある「グレーゾーン」まで視野に入れると、そこには、非常に幅広い種類・職種・領域…

『国会議員基礎テスト』 - 「お任せ民主主義」が生み出した! 

「国会議員を扱った作品」の第三弾は、黒野伸一『国会議員基礎テスト』(小学館文庫、2020年)です。「民主主義国家」と言われている日本。しかし、テレビに出ているので投票しようと安易に決めてしまう国民。社会が不安定になったり、生活が苦しくなったり…

『衆愚の果て』 - 新人議員が見た国会議員のリアルな生態

「国会議員を扱った作品」の第二弾は、高嶋哲夫『衆愚の果て』(幻冬舎文庫、2012年)です。半年前には「染みのついたTシャツに破れたジーンズ姿」のプータローだった男。政党が行った議員公募に応募し採用された後の選挙で当選し、衆議院議員になります。そ…

『決戦は日曜日』 - 政治家というお仕事って? 

衆議院と参議院の違いはありますが、国会議員とは、ルール(法律)や方向性(政策)を定めたり、税金の使い方を決めたりして、安全で暮らしやすい国にする活動を仕事にしている人のこと。国民の利害を代弁し、国の将来計画・ビジョンを示すことが求められる…

『小さな宇宙ベンチャーが起こしたキセキ』 - 日本初「宇宙商社」の誕生物語

「商社を扱った作品」の第五弾は、永崎将利『小さな宇宙ベンチャーが起こしたキセキ』(アスコム、2020年)です。2017年9月、日本初となる「宇宙商社」Space BDを創業し、たった3年でNASAやJAXAとの協業を果たした代表取締役社長・永崎将利による実話に基づ…

経済小説イチケンブログ3周年

「経済小説イチケンブログ」を始めて、ちょうど3年が経過しました。この1年間、「作品紹介」の中で取り上げた作品数は103点。取り上げたテーマ数は37でした。テーマについては、以下の表に示されるように、経済や企業の動向、業界・業種、仕事・働く人など、…

『三ツ星商事グルメ課のおいしい仕事』 - 隠された同課の意外なミッションとは? 

「商社を扱った作品」の第四弾は、百波秋丸『三ツ星商事グルメ課のおいしい仕事』(メディアワークス文庫、2014年)です。会社の経費で「不要な食事」を繰り返していると勘ぐられている総務部グループリソースメンテナンス課(グルメ課)。ところが、そこに…

『総合商社特命班』 - 「総合商社の概念を超える仕事」を見つけろ! 

『不毛地帯』と『空の城』の二作品では、高度成長期における総合商社の変化が扱われていました。その時代の商社にとって、大きな変化とは、主に取り扱うモノが一層拡充されていくプロセスでした。それに対して、バブル崩壊後における商社の変化は、モノだけ…