経済小説イチケンブログ

経済小説案内人が切り開く経済小説の世界

2022-06-01から1ヶ月間の記事一覧

『会社葬送』 - 山一證券の最後を看取った男たち

「証券会社を扱った作品」の第四弾は、江波戸哲夫『会社葬送 山一證券最後の株主総会』(新潮社、2001年)です。1897年に創業され、野村、大和、日興とともに「四大証券」の一角を担っていた山一證券。ところが、損失補填や「にぎり」など、相次ぐ不祥事を重…

『小説兜町』 - 株屋から証券会社へ:転換期の実相

「証券会社を扱った作品」の第三弾は、清水一行『小説兜町(しま)』(角川文庫、1983年)です。日本資本主義のメッカと称される株の町・兜町。そこで「最後の相場師」と言われつつも、「株屋から証券会社への近代化」の過程で、証券会社を追われていく山鹿…

『百戦百勝』 - 戦前の米相場と株相場がリアルに

「証券会社を扱った作品」の第二弾は、城山三郎『百戦百勝 働き一両・考え五両』(角川文庫、1979年)です。「山種証券」の創始者で、「相場の神様」と言われた山崎種二がモデル。寒村の貧しい農家で生まれ、東京の米問屋の小僧として働くようになる主人公の…

『大番』 - 証券会社の「昔と今」

東京証券取引所があり、「日本のウォール街」とも呼ばれている日本橋兜町。戦前は、「シマ」と呼ばれました。そこは、玄人の投資家や相場師たちが躍動する世界で、営業する証券会社は「株屋」と称されていました。ところが高度成長期、「素人の個人投資家」…

『ドッグファイト』 - 運送会社と巨大外資系ネット通販との戦い

「運送会社を扱った作品」の第三弾は、楡周平『ドッグファイト』(角川書店、2010年)です。日本で最大手の運輸会社・コンゴウ陸送(資本金600億円、売上高1兆4000億円、従業員数14万人)と、グローバルに事業を展開する外資系ネット通販・スイフトとの壮絶…

『ラストワンマイル』 - 運送会社の真価・存在意義

「運送会社を扱った作品」の第二弾は、楡周平『ラストワンマイル』(新潮社、2006年)です。巨大な郵政と、肥大化するIT企業との戦いを強いられた暁星運輸は、いかなる方策でその戦いに打ち勝とうとするのでしょうか? 武器となるのは、「物流業がすべての産…

『再生巨流』 - 運送会社の再生劇

いまでは日常生活に深く浸透しているサービスのひとつに、「宅配」があります。荷造りさえすれば、運送会社のドライバーが自宅まで取りにきて、配送先まで荷物を送り届けてくれます。また、ネットでモノを注文すれば、自宅を一歩も出ることなく、それを受け…

『新人OL、つぶれかけの会社をまかされる』 - 危機に陥ったレストランの再生劇

「イタリアン・レストランを扱った作品」の第三弾は、佐藤義典『新人OL、つぶれかけの会社をまかされる』青春出版社、2010年)です。危機に陥ったレストランの再生を図るための方策・考え方とは、いかなるものなのか? 店づくりのコンセプトをどのように確立…

『トラットリア・ラファーノ』 - 神戸・元町の イタリアン・レストラン

「イタリアン・レストランを扱った作品」の第二弾は、上田早夕里『トラットリア・ラファーノ』(ハルキ文庫、2017年)です。神戸・元町にある「トラットリア・ラファーノ」が舞台。お店の運営、料理の開発・勉強、店の雰囲気づくり、店内で流す曲の選定など…