経済小説イチケンブログ

経済小説案内人が切り開く経済小説の世界

2022-08-01から1ヶ月間の記事一覧

『Hello, CEO』 - ごく平凡な青年がベンチャー企業のトップに

「会社のトップを扱った作品」の第四弾は、幸田真音『Hello, CEO』(光文社、2007年)です。潜在的な力を持ちながらも、ごく平凡なサラリーマン生活を過ごしていた藤崎翔が、最年少ながら、ベンチャー企業の最高経営責任者(CEO)に就任。果たして、会社はど…

『小説 創業社長死す』 - ワンマンのオーナー経営者の光と影

「会社のトップを扱った作品」の第三弾は、高杉良『小説 創業社長死す』(角川書店、2015年)です。東邦食品工業の創業者で、オーナーでもある小林貢太郎。「飛ぶ鳥を落とす勢い」で会社を発展させてきた彼が急死。彼がいないと何事も機能しないワンマン体制…

『ライバル』 - 社長の資質とは? 

「会社のトップを扱った作品」の第二弾は、安土敏『ライバル』(ダイヤモンド社、2011年)。同じ年に総合商社に入社した二人の男性。やがて次期社長の座を争うライバルに。両者間で繰り広げられる「つばぜり合いと心の交流」が、関連会社との関係や川下作戦…

『器に非ず』 - 社長の「器」とは? 

会社の発展のために決定的に欠かせない条件のひとつとして、「トップ(社長・会長)の力量」が挙げられます。いかに優秀な社員が揃っていたとしても、彼らの能力をうまく発揮させ、目標や課題に向けてコーディネートしていくリーダーがいなければ、組織は円…

『大班』 - 「中国人との付き合い方」+「中国ビジネスの極意」

「中国ビジネスを扱った作品」の第三弾は、加藤鉱『大班 世界最大のマフィア・中国共産党を手玉にとった日本人』(集英社、2015年)。昼間は官僚、夜は「マフィアのボス」。二つの顔を使い分ける中国人エリートたち。一方で、知らない間に、利益を抜かれる日…

『黄土の疾風』 - 日中両国を知り尽くしたがゆえの行動力

「中国ビジネスを扱った作品」の第二弾は、深井律夫『黄土の疾風』(ダイヤモンド社、2011年)。荒廃した中国農業の復興のみならず、自給率の低下、担い手不足、耕作地放棄が急速に進行している日本農業の危機をも克服するため、投資ファンド「疾風ファンド…

『周極星』 - 混沌さと不思議なバイタリティが共存する国=中国

2010年、日本を凌駕し、世界第二位の経済大国になった中国。現在では、一人当たりのGDPでも「高所得国」の水準に近づきつつあります。巨大な市場であり、「世界の工場」でもある同国に対する世界のビジネス界の関心は半端なものではありません。しかし、中国…

『メイド・イン・ジャパン』 - 粗悪品からの脱却に尽力する経営者の夢と挫折

「戦後復興期を扱った作品」の第三弾は、城山三郎の短編小説「メイド・イン・ジャパン」(『総会屋錦城』新潮文庫、1963年所収)。「私の夢は、メイド・イン・ジャパンと刻印した湿度計をアメリカに輸出すること!」 品質の改善に力の限りを尽くした湿度計メ…

『三等重役』 - 戦後派サラリーマン社長の心の揺れと不安

「戦後復興期を扱った作品」の第二弾は、源氏鶏太『三等重役』(新潮文庫、1961年)。1951年8月23日号から52年4月13日号の『サンデー毎日』に連載され、話題を呼んだサラリーマン・ユーモア小説。「三等重役」とは、公職追放によって、戦前からの経営者が多…