経済小説イチケンブログ

経済小説案内人が切り開く経済小説の世界

2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧

『ハケン芸人』 - 芸人の力で、ダメ社員の改造・変身を図る! 

「芸人を扱った作品」の第三弾は、田中イデア『ハケン芸人~伝説のコンサルタント芸人・ポックリ小林の教え~』(扶桑社、2011年)。「お笑い芸人」に対して、おもしろさよりも楽しさや癒しを求める「アイドル芸人ブーム」が巻き起こるなか、22歳のポックリ…

『南部芸能事務所』 - 弱小プロダクションに集う芸人たちの群像

「芸人を扱った作品」の第二弾は、畑野智美『南部芸能事務所』(講談社、2013年)です。「弱小お笑いプロダクション」の実情、そこに所属している芸人たち間での交流、彼らの心の動き、売れない芸人の下積み生活の実態、芸人が大好きで、追っかけをやってい…

『笑う招き猫』 - ふたりの女漫才師の成長物語

テレビ番組や舞台で視聴者や観客を楽しませてくれる芸人たち。具体的には、コメディアン、落語家、漫才師、コント俳優、マジシャンなどを挙げることができます。人々に「お笑い」を提供するというのは、イメージ的には「楽しそうなお仕事」。でも、一人前の…

『その名もエスペランサ』 - 「派遣のプロ」をめざすヒロインの「お仕事生活」

「非正規労働者を扱った作品」の第三弾は、徳永圭『その名もエスペランサ』(新潮社、2014年)。「自分は派遣という形が性に合っている」と考えているヒロインの派遣社員・本郷苑子の心の葛藤や仕事に対する姿勢が浮き彫りにされています。 [おもしろさ] 派…

『小説・非正規』 - 非正規労働者のリアル

「非正規労働者を扱った作品」の第二弾は、北沢栄『小説・非正規 外されたはしご』(産学社、2016年)です。大手外食チェーン、世界的な自動車メーカー、年金機構、学校、メガバンクなどにおける非正規労働者のリアルが描写。低賃金・使い捨てという過酷な労…

『バルス』 - 非正規労働者に依存する雇用制度の「危うさ」

総務省の「労働力調査」によると、2018年における非正規雇用者数は2165万人。比率は38.3%になっています。非正規雇用には、嘱託社員、期間従事者、パートタイム労働者、派遣労働者、請負労働者などが含まれます。彼らの大半は、自らの意志や希望に合う形で…

『県庁の星』 - 役人根性全開の県庁職員がスーパーを改革

「スーパーを扱った作品」の第三弾は、桂望実『県庁の星』(小学館、2005年)。役人根性全開の県庁のエリート職員・野村聡が、研修先である田舎のスーパーの構造改革を図っていくことに。2006年2月に公開された映画『県庁の星』(出演者は織田裕二さんと柴咲…

『砂の王宮』 - 「流通王」となった男の栄枯盛衰

「スーパーを扱った作品」の第二弾は、楡周平『砂の王宮』(集英社、2015年)です。戦後の闇市のなかから度胸とカンで生き抜き、薬屋からやがてスーパーマーケットの「誠実屋」を創業し、日本有数の「流通王」として君臨することになる塙太吉の生涯が描かれ…