経済小説イチケンブログ

経済小説案内人が切り開く経済小説の世界

2022-07-01から1ヶ月間の記事一覧

『小説GHQ』 - 戦後日本の始まりは、焼け野原の中での茫然自失から

1945年の終戦から高度成長が始まる1955年までの「戦後復興期」。日本ではまだ、戦災の爪痕が大きく残り、人々は物資・食糧の欠乏に苦しんでいました。焼け野原の中での茫然自失から始まった戦後日本の第一歩は、どのようなものだったのか? 歩むべき道など、…

『最後の総会屋』 - アイドル歌手を売り込んだ総会屋

「総会屋を扱った作品」の第三弾は、大下英治『最後の総会屋』(徳間文庫、1995年)。「広島グループ」と呼ばれ、女性デュエットのアイドル歌手である「ピンクレディー」を連想させる「フラワーレディー」の実質上のスポンサーでもあった総会屋が主人公。す…

『小説 総会屋』 - 総会屋の実態・やり口・ノウハウ! 

「総会屋を扱った作品」の第二弾は、三好徹『小説 総会屋』(集英社文庫、1983年)。総会屋の実態、やり口、ノウハウが見事に描かれています。1982年に、従来のような総会屋主導の株主総会を排除し、その健全性を回復することを目的として、商法が改正された…

『総会屋錦城』 - 企業の味方か、敵か? 

企業の株主総会がピークとなった2022年6月29日。東京証券取引所によると、3月期決算の上場企業の26%に当たる約600社で、株主総会が開かれました。コロナ禍を受け、オンライン開催が増加し、お土産の廃止も広がるなど、総会も様変わり。しかし、最も大きな変…

『ハゲタカ2.5 ハーディ』 - 外資の傘下に入ったミカドホテルの奪還劇

「ホテルを扱った作品」の第二弾は、日本を代表する老舗クラシックホテルを舞台にした真山仁『ハゲタカ2.5 ハーディ』(講談社文庫、2017年)。経営難に陥り、世界的なリゾートグループ「リゾルテ・ドゥ・ビーナス」傘下に入っていた日光ミカドホテルの創業…

『リベンジ・ホテル』 - 地域経済の「鏡」としてのコミュニティホテル

「ホテルを扱った作品」の第二弾は、危機に瀕するコミュニティホテルを描写した江上剛『リベンジ・ホテル』(講談社文庫、2012年)。東京郊外にあるコミュニティホテルの苦境と、再生に向けての諸方策がメインに扱われています。また、ホテルに勤務する人の…

『TEN』 - 日本最大のホテルチェーンの創設史

コロナ禍で人の移動が抑制され、大きく利用客が減ったものの、ここにきて、復調の兆しが見えつつある宿泊業。近い将来、本格的なインバウンドの到来とともに、業績回復が期待されています。今回は、宿泊業のうち、ホテルに焦点を合わせた作品を三つ紹介しま…

『投資アドバイザー有利子』 - 自己責任+リスクへの覚悟+アドバイス=資産運用

「証券会社を扱った作品」の第五弾は、幸田真音『投資アドバイザー有利子』(角川書店、2002年)です。顧客目線で資産運用の相談に乗ってくれる財前有利子(ざいぜん ありこ)のプライド・信念・生きがいが描写。また、運用されている金融商品、デイ・トレー…