経済小説イチケンブログ

経済小説案内人が切り開く経済小説の世界

2019-09-01から1ヶ月間の記事一覧

『甘い罠 小説糖質制限食』 - 糖質が過剰に摂取される食生活に喝を入れる! 

「料理を扱った作品」の第四弾は、鏑木蓮『甘い罠 小説糖質制限食』(東洋経済新報社、2013年)。糖質制限食や化学調味料への過度の依存という切り口で、日本人が直面している食生活や味覚の危機と真正面に向き合った作品になっています。 [おもしろさ] 人類…

『星をつける女』 - 格付け判定をするには、これほどまでの労苦が

「料理を扱った作品」の第三弾は、原宏一『星をつける女』(角川文庫、2019年)。世界的な「食のガイドブック」の元格付け人で、シングルマザーの牧村紗英は、飲食店の格付け事務所を立ち上げます。けっして手を抜かずに仕事をやり遂げる優秀な格付け人・紗…

『鴨川食堂』 - 探します! 「思い出というスパイス」付きの料理と味を

「料理を扱った作品」の第二弾は、柏井壽『鴨川食堂』(小学館、2013年)です。京都にある鴨川食堂は、おいしい料理を出すだけではありません。一緒に食べた人についての大切な「思い出というスパイス」の効いた料理・味を探し出してくれる「探偵事務所」も…

『キッチンコロシアム』 - 料理をエンタテインメントとして初めて扱った! 

まだまだ暑さが残っているとはいえ、首都圏では、吹く風に秋の気配が強く感じられる今日このごろです。そして、秋と言えば、「食欲の秋」。おいしいものがいっぱい出回ります。そこで、今回は、料理・食を扱った作品を5つ紹介したいと思います。 「料理を扱…

『東京カジノパラダイス』 - ビジネスの視点からカジノを見ると

「カジノを扱った作品」の第二弾は、楡周平『東京カジノパラダイス』(新潮文庫、2018年)です。カジノをあくまでビジネスの視点で見るとどのようなものになるのかを追求した作品です。原題は、2016年に新潮社から刊行された『ラストフロンティア』。先進国…

『バラ色の未来』 - IRの効果を総合的、かつ冷静に考えてみよう

9月4日、国土交通省は、カジノを含む「統合型リゾート(IR)」整備についての基本方針案を公表しました。IRに関しては、8月22日に、横浜市がその誘致を発表。ほかにも、大阪府・市、和歌山県、長崎県などもIR誘致の申請を検討しています。政府の方針によれば…

『声のお仕事』 - アニメや声優が好きな人にはたまらないお仕事小説

「俳優を扱った作品」の第四弾は、川端裕人『声のお仕事』(文藝春秋、2016年)です。人気があり、身近に感じてはいるが、知らないことの多い声優の世界を描いたお仕事小説。アニメファンの目には、まさに「アイドル」である声優の核心に迫ります。 [おもし…

『カンパニー』 - 世界的なダンサーが作り出す「異次元の世界」

「俳優を扱った作品」の第三弾は、伊吹有喜『カンパニー』(新潮社、2017年)。カンパニーとは、バレエ団のこと。職場で自分の存在価値を見失いそうになっている二人の人物を通して、バレエの魅力とダンサーの心の内が描かれています。 [おもしろさ] 踊れな…