経済小説イチケンブログ

経済小説案内人が切り開く経済小説の世界

2020-03-01から1ヶ月間の記事一覧

『俺のコンビニ』 - 若き店長の情熱がつくりあげたもの

「コンビニを扱った作品」の第二弾は、峰月皓『俺のコンビニ』(メディアワークス文庫、2010年)。郷里でコンビニの立ち上げに奔走する青年の成長物語。コンビニの店長として、何事にもへこたれず、前向きに進んでいく様子がさわやかに描かれています。続編…

『ビル街の裸族』 - コンビニ本部と加盟店のビミョウな関係! 

買い物をするところで、最も身近なお店はどこか? そう聞かれると、多くの場合「コンビニ」という答えが返ってくることでしょう。コンビニが日本に登場したのは、1970年代初めのこと。その後、大きく成長していきます。急成長の過程で構築されたビジネスモデ…

『こちら弁天通りラッキーロード商店街』 - ハチャメチャの思いつきとアイデアで! 

「商店街の活性化を扱った作品」の第三弾は、五十嵐貴久『こちら弁天通りラッキーロード商店街』(光文社、2013年)。カリスマ的な重みをもった人物のアイデアに基づいた活性化物語。借金取りから逃げてお寺に身を隠した主人公の思いつき的なアイデアが地元…

『メガネと放蕩娘』- 起爆剤になった商店主と大学の教員・学生のコラボ! 

「商店街の活性化を扱った作品」の第二弾は、山内マリコ『メガネと放蕩娘』(文藝春秋、2017年)。まじめで堅実な老舗書店の「メガネ」娘と10年ぶりに地元に帰ってきた「放蕩娘」が、地元の大学教員・学生と協力しながら、あの手この手の活性策を打ち出しま…

『おっさんたちの黄昏商店街』 - 高校生の斬新なアイデアからの始動

2020年3月8日(日)、昼食後にテレビをつけると、目に留まったのが日本テレビの番組『鬼の錬金マスター!』。シャッター商店街を舞台に、二人のカリスマ社長が「美容室」と「餃子店」をオープンさせ、1ケ月間の利益を競うというもの。番組がめざしたのは、…

『小説・震災後』 - 掻き立てられた狼狽と不安、そして疑心暗鬼に

「福島第一原発をモデルにした作品」の第四弾は、福井晴敏『小説・震災後』(小学館文庫、2012年)。震災後における日本人の寄る辺のない狼狽感・不安感・疑心暗鬼とはいかなるものか、それらにどのように対処していけばよいのか、次の世代になにを継承する…

『シンドローム』 - 今度のターゲットは超巨大電力会社! 

「福島第一原発をモデルにした作品」の第三弾は、真山仁『シンドローム』(上下巻、講談社、2018年)。シンドロームとは、「同時進行」の意味。サムライ・ファンドの鷲津政彦が主人公を演じる「ハゲタカ」シリーズの5作目。東京電力福島第一原発をモデルにし…

『ザ・原発所長』 - 原発と真摯に向かい合った主人公と黒木亮

「福島第一原発をモデルにした作品」の第二弾は、黒木亮『ザ・原発所長』(上下巻、朝日新聞出版、2015年)。2010年に福島第一原発の所長に就任した吉田昌郎所長と東日本大震災をモデルにした小説。膨大な文献の読み込みと、70人以上におよぶ関係者への取材…

『小説Fukushima50』 - 死の恐怖と対峙しながら任務を遂行した男たち

2011年3月11日。東日本大震災からまもなく9年。それは、未曽有の大地震に加え、想像を絶する大津波、そのうえまかり間違えば、「東日本を全滅させたかもしれない」ほどの衝撃を与えた東京電力福島第一原子力発電所の事故が重なったことで、甚大な被害をもた…