経済小説イチケンブログ

経済小説案内人が切り開く経済小説の世界

2020-02-01から1ヶ月間の記事一覧

『ミリオンセラーガール』 - 売り方次第で、本は売れる! 

「出版社を扱った作品」の第四弾は、里見蘭『ミリオンセラーガール』(中公文庫、2015年)。この本のヨコ軸で描かれるのは、出版界という巨大な制度・慣行・システムの全体像と、それを変革していくことの重要性。本の販売制度、書店営業のイロハをはじめ、…

『任侠書房』 - ヤクザが出版社を再建する?!

「出版社を扱った作品」の第三弾は、今野敏『任侠書房』(中公文庫、2007年)。ヤクザの阿岐本組が崩壊寸前の組織を再建する「任侠シリーズ」の第一作目『とせい』を改題したもの。ヤクザという「裏稼業」に生きる男たちの知恵や行動力が、出版社という「表…

『夢を売る男』 - 「客は読者じゃなくて著者」:自費出版の世界

「出版社を扱った作品」の第二弾は、百田尚樹『夢を売る男』(太田出版、2013年)。本を書きたいという人にとって、自分の本が出版されることはまさに「夢」。そんな「夢をかなえる丸栄社という名の出版社」を舞台にした型破りのブラックコメディ。もっぱら…

『裁断処分』 - 出版業界の「末期的症状」が! 

「本が売れない」。多くの人が聞かれていることでしょう。出版不況という言葉がささやかれるようになったのは、1990年代末のこと。書籍・雑誌の販売額は、その後右肩下がりに減少。ピーク時(1996年)の2兆6563億円と比較すれば、おおむね半減しているのが、…

『税金亡命』 - 国境を超えて展開される脱税の構図

「税金を扱った作品」の第三弾は、佐藤弘幸『税金亡命』(ダイヤモンド社、2016年)。この本は、かつてアジア最大のタックスヘイブンとして煙たがられた香港とわが国を舞台に、国境を越えて脱税を図ろうとする脱税者、その手引きをする国税局のOB(国税OB)…

『B勘あり!』 - ズバリ! 税務調査の実態とは? 

「税金を扱った作品」の第二弾は、飯田真弓『B勘あり!』(日本経済新聞出版社、2015年)。B勘とは、裏帳簿、隠し口座などのこと。26年間国税調査官として勤務し、現在は税理士として活動する著者による小説。舞台は大阪。かつて国税調査官であったがゆえの…

『トッカン 特別国税徴収官』 - 絶大な強権を有したその「実像」! 

2月上旬になると、日ごろ遠い存在と思っている税務署がとても近いものに感じる人が増えるのではないでしょうか? それは、2月17日から確定申告が始まるからです。源泉徴収されている税金がどれくらい還付されるのか。支払った医療費がどれだけ戻るのか。逆に…

経済小説イチケンブログ1周年

「おもしろくて、ためになる経済小説」を紹介するブログ。開設してから、2月4日で一年が経ちます。この1年間、「作品紹介」の中で取り上げたのは、テーマ数では31、冊数では117点になります。どのようなテーマだったのでしょうか? それは、以下の表のとおり…

『AI崩壊』 - AIに過度に依存しすぎると、このような事態が! 

「映画に因んだ作品」第二弾は、浜口論太郎『AI崩壊』(講談社文庫、2019年)。つい先日、1月31日に公開の『AI崩壊』(監督・脚本=入江悠、主演=大沢たかお、出演=賀来賢人、広瀬アリス、岩田剛典)の小説版です。国民の健康・医療を支えるだけではなく、…