スポーツ小説や警察小説の分野で数々のヒット作を出している堂場瞬一。そんな作者が若き新聞記者・南康祐を主人公にして、時代の荒波に揉まれて揺れ動いている新聞社が直面している課題・難題に真っ正面から挑んだ作品を上梓されています。『警察(サツ)回…
「自衛隊を扱った作品」の第四弾は、有川浩『空飛ぶ広報室』(幻冬舎、2012年)です。「スカイ」というタックネームを持ち、精鋭集団ブルーインパルスへの配属を夢みる若き戦闘機パイロット空井大祐二尉。ところが、28歳の時に、不慮の事故で戦闘機のパイロ…
「自衛隊を扱った作品」の第三弾は、数多久遠『航空自衛隊副官 玲於奈』(ハルキ文庫、2020年)です。沖縄那覇基地に勤務している斑尾玲於奈二等空尉。彼女に下ったのは、南西航空方面隊司令官付き「副官」の辞令。南西航空方面隊は、日本をざっくり四つのエ…
「自衛隊を扱った作品」の第二弾は、時武里帆『試練 護衛艦あおぎり艦長 早乙女碧』(新潮文庫、2022年)です。海上自衛隊の早乙女碧二佐(44歳)が護衛艦「あおぎり」の艦長として着任した初日を描いた『護衛艦あおぎり艦長 早乙女碧』の続編。本書では、着…
多くの国民が「自衛隊」を意識するのは、台風や地震などの災害時に出動し、人命の救出、遺体の捜索、がれきの撤去などで高い処理能力が報道されるようなシーンではないでしょうか? しかし、「自衛隊本来の任務は、他国からの安全を脅かす行為を封じるために…
「銀行を扱った作品」の第五弾は、須崎正太郎『銀行ガール 人口六千人の田舎町で、毎日営業やってます』(一迅社、メゾン文庫、2019年)です。地方銀行である神山銀行の光瀬町支店で営業として働いている五十嵐吟子24歳の日々が描写されています。義理人情と…
「銀行を扱った作品」の第四弾は、池井戸潤『アキラとあきら』(徳間文庫、2017年)です。零細工場経営者の息子である山崎瑛(あきら)と大手海運会社・東海郵船経営者の御曹司である階堂彬(あきら)。生まれも育ちもまったく異なるふたり。お互いに運命を…
「銀行を扱った作品」の第三弾は、池井戸潤『オレたち花のバブル組』(文春文庫、2010年)。1988年から92年に就職した「バブル入行組」の「特別な思い・屈託」と、「団塊の世代」に対する怒り・悪戦苦闘を描いた半沢直樹シリーズの第二弾。いったん失われて…
「銀行を扱った作品」の第二弾は、横幕智裕(原作:周良貨、能田茂)『監査役 野崎修平』(集英社文庫、2018年)です。「銀行は晴れの日にムリヤリ傘を貸し、雨が降ったら取り上げる」という言葉通り、「貸し剥がし」や「貸し渋り」は、銀行の姿勢を厳しく批…
経済小説の対象となる業界で、非常に多く取り上げられているのが銀行です。それは、経済活動のなかで、きわめて重要な地位を占めています。当然の結果かもしれません。もっとも、バブル崩壊後の銀行は、企業や個人にとって「頼りがいがある」存在だとは言え…
「クリニックを扱った作品」の第三弾は、坂木司『シンデレラ・ティース』(光文社文庫、2009年)です。「小さい頃から、歯医者なんて大っ嫌いだった」。「キーンと耳ざわりなドリルの音! 私は今でもあの音を聞くと、右の奥歯がつきんと痛むような気がする」…
「クリニックを扱った作品」の第二弾は、近藤史恵『カナリヤは眠れない』(祥伝社文庫、2020年)です。「本人に治す気がなけりゃ、おれのできることなんてほんの少しや」と言うのは、合田接骨院の合田力。それに対し、「患者さんを治す気にさせるのも先生の…
心身になんらかの異常が生じたとき、お世話になる医療機関。突如発生し、短期間に重症化するリスクが高い急性期疾患の場合、「病院」での治療になるのが通例のケース。ところが、軽い病気やケガ、あるいは、症状は落ち着いていたとしても、引き続き治療が必…
「学校給食を扱った作品」の第二弾は、「食べる側」を描いた紙吹みつ葉『おいしい給食』(中公文庫、2020年)です。時代は1980年代。ハンサムだが、近づきがたい雰囲気を持つ無愛想な数学教師・甘利田幸男の唯一の楽しみは「給食」。毎食、構成を見極め、バ…
戦後の小学生であれば、ほとんどの人が経験した学校給食。世代による違いはあるかもしれませんが、多くの人にとっては、「歯を磨いたり顔を洗ったりするのと同じで、すぐに流れ去る日常でしかなかった」のではないでしょうか? 私自身、記憶に残っている給食…
「コンビニを扱った作品」の第二弾は、町田そのこ『コンビニ兄弟-テンダネス門司港こがね村店-』(新潮文庫、2020年)です。九州だけのコンビニチェーン「テンダネス」。「ひとにやさしい、あなたにやさしい」がモットー。同チェーンの門司港こがね村店を…
人口が密な都会にあっては、ちょっと歩けば、必ず見つけることができるコンビニ。まったく初めての店に入っても、なぜか違和感なく買い物ができてしまいます。どのチェーンのコンビニに入っても、「類似の商品」がところ狭しと陳列されているからでしょうか…
「紙の本に関わる工房を扱った作品」の第二弾は、相原罫『朝日堂オーダーメイド製本工房』(メディアワークス文庫、2021年)です。製本会社「朝日堂」の屋上にひっそりと建つ小さな工房。野島志乃は、そこで「自分だけの一冊を作ってほしい」という依頼を受…
とても便利な電子書籍。保管するのに、空間的な場所を必要としません。読みたいときに、読みたい本を読むことができます。でも、紙の本にも大きな良さがあります。私にとっては、手軽に、かつ自由に書き込みができたり、付箋を貼ったり、常に目に見えるとこ…
「営業部員を扱った作品」の第二弾は、川田修『僕は明日もお客さまに会いに行く。』(ダイヤモンド社、2013年)です。5年間営業の仕事をやっていたにもかかわらず、根本的なことをわかっていなかった主人公の三井総一郎。メンター制度によって、伝説の営業マ…
売り上げを最大限に伸ばしたい! どの会社にあっても、営業部員の大きな目標は、売上高の向上にほかなりません。では、どのようなやり方で取り組めば、目標に近づくことができるのでしょうか? 2019年6月3日~6月12日のブログで、営業部員をテーマにして五つ…
「受付嬢を扱った作品」の第二弾は、朝戸夜『お仕事ガール!』(メディアワークス文庫、2016年)です。大手総合商社「おたふく商事」の受付嬢となった水原時子の奮闘記。そこでの活躍が評価され、のちに人事総務部の刷新に身を投じることになります。受付業…
会社を訪問するとき、最初に出会う「受付嬢」。笑顔で迎えられ、テキパキと要件を担当者につなげてもらえる。当然のことながら、会社に対する印象も良くなる。そのあたりまでは、「想定の範囲内」の流れと言えるかもしれません。しかし、実際には、通り一遍…
「町役場を扱った作品」の第二弾は、前回紹介した『崖っぷちの町役場』の続編にあたる川崎草志『浜辺の銀河 崖っぷちの町役場』(祥伝社文庫、2018年)です。南予町に隣接する伊達町の副町長に、総務省から出向してきた官僚・葉山怜亜が就任。目に見える成果…
愛媛県の南部にある架空の町「南予町」。JRの駅はなく、高速道路も通っていない。「三方を山に囲まれ、一方は海に面している。主な産業は、農業に林業に漁業…そして、公務員業。日本全国、どこでも見られるような小さな町だ」。若年層の流出は恒常化している…
「社史を扱った作品」の第二弾は、朱野帰子『会社を綴る人』(双葉文庫、2022年)。錦上製粉の社史を読み、同社に入社した菅屋大和(作品の中では、最上製粉の紙屋として登場)。失敗ばかりのダメ男ではあったのですが、彼の唯一の「取り柄」である「文章を…
会社・組織・団体のHPを見ると、内容の差はあれ、どのような歴史を歩んできたのかという情報がまとめられています。そうした「沿革」というものを、従業員・顧客・株主・就職希望者など、多くの人たちが閲覧します。ただ、記載されているのは、簡単な事実・…
「編集者を扱った作品」の第四弾は、少女向けファッション誌の編集者を素材にした大崎梢『プリティが多すぎる』(文藝春秋、2012年)。対象年齢はずばり「女子中学生」というファッション誌『ピピン』に異動となった新米編集者・新見佳孝。最初は「驚きと疑…
「編集者を扱った作品」の第三弾は、月刊漫画誌の編集者を素材にした問乃みさき『次回作にご期待ください』(角川文庫、2018年)。漫画誌の若き編集長・眞坂崇と同期の編集者・蒔田了の物語。編集長という名の管理職に抵抗感を持っている「お人好しの眞坂」…
「編集者を扱った作品」の第二弾は、前回と同じで、文芸編集者を素材にした大崎梢『クローバー・レイン』(ポプラ社、2012年)。作家とのさまざまなやり取り、ライバル社の編集者との交流・競争などを通し、文芸編集者・工藤彰彦の仕事の全体像が多角的に浮…