経済小説イチケンブログ

経済小説案内人が切り開く経済小説の世界

2020-01-01から1ヶ月間の記事一覧

『カツベン!』 - 黎明期における活動写真の魅力が浮き彫りに

ほんの少し前に新年を迎えたように思っていたのが、早くも1ケ月が過ぎようとしています。寒い日のアウトドア・スポーツも一興。温かい映画館で映画を鑑賞するのもまた、一興ではないでしょうか。そこで、今回は最近公開された「映画に因んだ作品」を二つ紹介…

『パレートの誤算』 - 生活保護の最前線で起こっていること! 

「社会保障を扱った作品」の第二弾は、柚月裕子『パレートの誤算』(祥伝社、2014年)。社会保障の重要な一角を担う制度に、生活保護があります。この本は、生活保護の実態をリアルに描いた経済小説であるとともに、生活保護の最前線での激務を担うケースワ…

『社会保障クライシス』 - 孫の世代にもつながる社会保障改革とは? 

いま、政府レベルでの最重要課題として注目されているものに、「すべての世代が安心できる全世代型社会保障」の充実があります。先月まとめられた全世代型社会保障検討会議の中間報告で打ち出されたひとつの柱は、高齢者の就労促進などによる社会保障の「支…

『ブラック・ヴィーナス』 - 隠された「黒女神」のミッションとは! 

「株を扱った作品」の第四弾は、城山真一『ブラック・ヴィーナス 投資の女神』(宝島社、2003年)。わずかな金さえあれば、どれだけでも金を増やすことができる「株の天才」。そのようにうわさされるのは、「黒女神」こと、二礼茜。銀行に見放された人物など…

『ビット・トレーダー』 - デイ・トレードの世界がビビッドに! 

「株を扱った作品」の第三弾は、樹林伸『ビット・トレーダー』(幻冬舎、2007年)。ジェットコースターのごとく急上昇と急下降を繰り返す株価の変動に翻弄される「デイ・トレーダー」の姿がリアルに再現されています。デイ・トレーダーとは、株を中長期的に…

『最後の相場師』 - 相場師から機関投資家・大衆投資家へという流れの中で

「株を扱った作品」の第二弾は、津本陽『最後の相場師』(角川文庫、2007年)です。主人公である佐久間平蔵のモデルは、是銀こと、是川銀蔵。彼の自叙伝(『相場師一代』。原題は、『自伝波乱を生きる』1991年)を読むと、挫折と再起を何度も繰り返し、激動…

『波のうえの魔術師』 - 「株の世界」はハラハラドキドキの連続! 

毎日、新聞・ネット・テレビなどで必ず取り上げられるものに、株価の変動があります。個人投資家にとって、株価は収益を左右する重要なファクター。その動きに一喜一憂している人も多いことでしょう。他方、企業にあって、株は、最も重要な資金の調達手段に…

『ずんずん!』 - 牛乳配達をグローバルな視点で見てみよう!  

「新生」を扱った作品の第二弾は、山本一力『ずんずん!』(中央公論新社、2016年)です。前回の作品は、「逆転の発想」という考え方に即した小説だったのですが、今回は、「温故知新」の考え方に沿って、新しいものを創出していく姿を描いています。江戸時…

『国士』 - 日本の将来を見据えたビジネスビジョンの構築へ

2020年がスタートしました。「今年こそは、これをしよう」「あれを試してみよう」「これをめざそう」と、新しいことに取り組む方もおられるのではないでしょうか。そこで、今回は、「新生」、つまり新らたなことを追求するときに参考にできる二つの作品を紹…