経済小説イチケンブログ

経済小説案内人が切り開く経済小説の世界

2021-09-01から1ヶ月間の記事一覧

『万事オーライ』 - 「別府観光の父」と呼ばれた男

コロナ禍で大きく抑制されているヒトの移動。とはいえ、それは、人々の生活を維持していくうえで欠かせない経済活動のひとつです。移動の目的は、娯楽、食事、仕事、旅行・観光など、多様です。一日で完結しない場合や遠隔地に移動する場合は、宿泊が必要に…

『社内保育士はじめました』- 新米女性保育士の奮闘記

「保育士を扱った作品」の第二弾は、貴水玲『社内保育士はじめました』(光文社文庫、2018年)。子どもと接する術がよくわからない新米保育士が失敗を繰り返す中で徐々に子どもやその親たちとの距離感を見極め、仕事に喜びを発見するようになっていきます。…

『戦うハニー』 - 新米男性保育士の奮闘記

子どもが生まれても働き続けたい。安心して子ども預ける場があれば、仕事を辞めたくない……。そのように考えている人は極めて多いようです。ところが、預けられる保育施設がなかなか見つかりません。保育施設には、定員数や保育士の配置基準があり、子どもの…

『カラ売り屋 VS 仮想通貨』 - 仮想通貨の罠

「カラ売り屋を扱った作品」の第四弾は、黒木亮『カラ売り屋VS仮想通貨』(角川書店、2021年)。パンゲアによる「カラ売り屋」シリーズ四作目。8月27日に出版されたばかりの最新作です。今回は、仮想通貨交換業者、巨大航空会社、新興電気自動車メーカーをタ…

『カラ売り屋、日本上陸』 - あくどい経営者に「天の裁き」を

「カラ売り屋を扱った作品」の第三弾は、黒木亮『カラ売り屋、日本上陸』(角川書店、2020年)。パンゲアによる「カラ売り屋」シリーズ三作目の作品です。ニューヨークのカラ売り屋が東京に日本事務所を開設。巨大医療グループ、シロアリ駆除会社、総合商社…

『リストラ屋』 - 強欲な「コストカッター」に挑む

「カラ売り屋を扱った作品」の第二弾は、黒木亮『リストラ屋』(講談社、2009年)。パンゲアと北川靖による「カラ売り屋」シリーズ二作目に当たる作品。スポーツ用品メーカーの新しい経営者として招聘された人物は、人とコストをギリギリの極限状態まで減ら…

『カラ売り屋』 - あくどい企業を探し出し、調べ、徹底的に戦う

空(カラ)売りとは、投資対象である物を保有せずに、対象物を売る契約を結ぶこと。「株式のカラ売りの場合は、証券会社などから借りてきた株を市場で売却し、株価が下がったところで買い戻し、借りていた株を返却」。その差額で利益を得る取引のことです。…

アクセス数2万突破! 

「経済小説イチケンブログ」のアクセス数が1万PVを突破したのは、昨年の10月でした。それから11か月が経過した9月2日に2万PVを突破しました。うれしいです。ご覧になってくださった方々に感謝します。 毎日、空いている時間が少しでもあれば、経済小説・お仕…

『ウイスキーボーイ』 - 宣伝マンの矜持

「ウイスキーを扱った作品」の第二弾は、吉村喜彦『ウイスキーボーイ』(PHP文芸文庫、2014年)です。かつて、ウイスキーはモルトだけでした。シンプルで、性格がストレートに出ます。ところが、産業革命で連続式蒸留器が発明され、グレイン・ウイスキーとい…

『リタとマッサン』 - 国産ウイスキーの誕生に生涯をかけて夫婦

いまや海外でも高い評価を受けている国産ウイスキー。2021年8月現在、稼働中の蒸留所は39カ所にまで増加しています。しかし、国産ウイスキーに向けての最初の動きがあった1920年頃はまだ、アルコールに色と香りをつけた「名ばかりのウイスキー」が横行してい…