経済小説イチケンブログ

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2023-11-01から1ヶ月間の記事一覧

『空飛ぶ広報室』 - 航空自衛隊を広く知ってもらうには

「自衛隊を扱った作品」の第四弾は、有川浩『空飛ぶ広報室』(幻冬舎、2012年)です。「スカイ」というタックネームを持ち、精鋭集団ブルーインパルスへの配属を夢みる若き戦闘機パイロット空井大祐二尉。ところが、28歳の時に、不慮の事故で戦闘機のパイロ…

『航空自衛隊副官 玲於奈』 - 著者は、元幹部自衛官で、自らも副官の経験者

「自衛隊を扱った作品」の第三弾は、数多久遠『航空自衛隊副官 玲於奈』(ハルキ文庫、2020年)です。沖縄那覇基地に勤務している斑尾玲於奈二等空尉。彼女に下ったのは、南西航空方面隊司令官付き「副官」の辞令。南西航空方面隊は、日本をざっくり四つのエ…

『試練 護衛艦あおぎり艦長 早乙女碧』 - 女性艦長が発揮したリーダーシップ

「自衛隊を扱った作品」の第二弾は、時武里帆『試練 護衛艦あおぎり艦長 早乙女碧』(新潮文庫、2022年)です。海上自衛隊の早乙女碧二佐(44歳)が護衛艦「あおぎり」の艦長として着任した初日を描いた『護衛艦あおぎり艦長 早乙女碧』の続編。本書では、着…

『約束の海』 - 自衛隊とはなにか? 未完の大作

多くの国民が「自衛隊」を意識するのは、台風や地震などの災害時に出動し、人命の救出、遺体の捜索、がれきの撤去などで高い処理能力が報道されるようなシーンではないでしょうか? しかし、「自衛隊本来の任務は、他国からの安全を脅かす行為を封じるために…

『銀行ガール』 - 地方の人たちに貢献するのが地銀のミッション! 

「銀行を扱った作品」の第五弾は、須崎正太郎『銀行ガール 人口六千人の田舎町で、毎日営業やってます』(一迅社、メゾン文庫、2019年)です。地方銀行である神山銀行の光瀬町支店で営業として働いている五十嵐吟子24歳の日々が描写されています。義理人情と…

『アキラとあきら』 - ふたりの「出会い」から「共闘」へ

「銀行を扱った作品」の第四弾は、池井戸潤『アキラとあきら』(徳間文庫、2017年)です。零細工場経営者の息子である山崎瑛(あきら)と大手海運会社・東海郵船経営者の御曹司である階堂彬(あきら)。生まれも育ちもまったく異なるふたり。お互いに運命を…

『オレたち花のバブル組』 - 失ってしまった銀行員のプライドをとり戻せ! 

「銀行を扱った作品」の第三弾は、池井戸潤『オレたち花のバブル組』(文春文庫、2010年)。1988年から92年に就職した「バブル入行組」の「特別な思い・屈託」と、「団塊の世代」に対する怒り・悪戦苦闘を描いた半沢直樹シリーズの第二弾。いったん失われて…

『監査役 野崎修平』 - 銀行の悪弊に挑む監査役

「銀行を扱った作品」の第二弾は、横幕智裕(原作:周良貨、能田茂)『監査役 野崎修平』(集英社文庫、2018年)です。「銀行は晴れの日にムリヤリ傘を貸し、雨が降ったら取り上げる」という言葉通り、「貸し剥がし」や「貸し渋り」は、銀行の姿勢を厳しく批…

『異端王道』 - 「これまでの銀行になかったサービス」を! 

経済小説の対象となる業界で、非常に多く取り上げられているのが銀行です。それは、経済活動のなかで、きわめて重要な地位を占めています。当然の結果かもしれません。もっとも、バブル崩壊後の銀行は、企業や個人にとって「頼りがいがある」存在だとは言え…