経済小説イチケンブログ

経済小説案内人が切り開く経済小説の世界

2022-04-01から1ヶ月間の記事一覧

『幸福な会社』 - リーマンショック後における鉄鋼業の苦悩と再生

「鉄鋼業を扱った作品」の第三弾は、阿川大樹『幸福な会社』(徳間文庫、2011年)です。かつて「鉄は国家なり」「鉄は産業の米」と言われ、日本の経済発展を支えた鉄鋼業。ところが、リーマンショック後の不況下で、業績の低迷にあえいでいます。苦境に陥っ…

『鉄人伝説』 - 新日鐵が辿った道のりを描いたドキュンタリー小説

「鉄鋼業を扱った作品」の第二弾は、小野正之『鉄人伝説 小説新日鐵住金』(幻冬舎ルネッサンス、2013年)です。戦後の高度成長を支え、産業界を牽引した鉄鋼業の中心的存在であったのは、八幡製鉄と富士製鉄の合併によって世界一となった新日鐵でした。その…

『鉄のあけぼの』 - 「鉄のパイオニア」西山弥太郎! 

工業国において最も基幹的な産業としての地位を保ち続けている鉄鋼業。日本では、2019年の粗鋼生産量で世界第3位にランクされている日本製鉄を筆頭に、第11位のJFEスチール(元川崎製鉄)や第55位の神戸製鋼所といった大企業が存在しています。いまでこそ、…

『校閲ガール』 - 不本意な職場を余儀なくされたけれど

「働く女性を扱った作品」の第五弾は、出版社の校閲部に勤務する女性社員を扱った宮木あや子『校閲ガール』(KADOKAWA、2014年)。憧れていたポジションとは異なり、まったくオシャレとは言い難い不本意な部署で働くことになった女子社員の労苦と嘆きが描か…

『翻訳ガール』 - 文芸翻訳というお仕事の真髄

「働く女性を扱った作品」の第四弾は、翻訳者の喜びと苦労を綴った千梨らく『翻訳ガール』(宝島社文庫、2014年)です。「原書から受けるイメージが、ほとんどそのまま残されている」。そうした翻訳が実現されるには、その内容をとことん理解したうえ、日本…

『モップガール』 - 特殊能力者が「特殊清掃」を通して事件・事故の謎を暴く

「働く女性を扱った作品」の第三弾は、清掃会社で働く女性を描いた加藤実秋『モップガール』(小学館文庫、2009年)です。事件・事故現場の後始末という「特殊清掃」を請け負っている清掃会社の清掃員。一般的な清掃会社とはまた異なり、驚きや苦労が絶えま…

『特急便ガール!』 - 送り主と受取人をつなぐのは……

「働く女性を扱った作品」の第二弾は、バイク便運営会社の配達員を描いた美奈川護『特急便ガール!』(メディアワークス文庫、2011年)です。バイク便運営会社で働くことになった女性配達員・吉原陶子。突然、常識人の理解の範疇を越える「瞬間移動」という…

『白バイガール』 - 働く女性:性差から個人差へ

令和元年における女性の労働力人口は3058万人。男性の3828万人と比べると、少ないものの、労働力人口に占める女性の割合は44.4%に達しています。いまでは、女性がいない職場自体、非常に少なくなっていると言っても過言ではありません。それゆえ、働く女性…