経済小説イチケンブログ

経済小説案内人が切り開く経済小説の世界

2021-04-01から1ヶ月間の記事一覧

『小説スーパーマーケット』 - 知られざるスーパー業界の内幕

食料品をはじめ、生活に必要なさまざまな品物をワンストップで、しかも手ごろな価格で買い求めることができる小売店と言えば、多くの人はスーパーマーケットを思い浮かべるのではないでしょうか? アメリカでは、1930年頃に早くも出現しているのですが、日本…

『残業禁止』 - ゼネコンが抱える今日的課題とそれへの対応! 

「ゼネコンを扱った作品」の第二弾は、荒木源『残業禁止』(角川文庫、2019年)です。ひとつの工事現場で、完成に至るまでの一連の業務がどのように進んでいくのか? その際、いかなる課題をクリアしていかなければならないのか? ゼネコンの現場監督を軸に…

『鉄の骨』 - 「美しさ」と「醜さ」が同居するゼネコンの光と影

マンションやビルをはじめ、ショッピングモール、テーマパーク、さらにはダムや高速道路などに至るまで、多くの大規模な建設・土木工事を担うのは、ゼネコン(ゼネラル・コントラクター)と呼ばれる総合建設業者。注文者から工事を請け負い、複数の下請け事…

『異端の大義』 - 巨大総合家電メーカーの「危機と再生」の物語

「電機産業を扱った作品」の第五弾は、楡周平『異端の大義』(上下巻、毎日新聞社、2006年)。巨大な総合家電メーカーの危機と再生を描いた物語。東洋電器産業に勤務する高見龍平は、エリート社員でありながらも、上司への直言で恨みを買うハメに陥ります。…

『新天地』 - 海を越えて夢を追おうとした技術者が遭遇した現実

「電機産業を扱った作品」の第四弾は、江波戸哲夫『新天地』(講談社、2017年)。景気後退に伴い、それまで行ってきた技術開発の夢が断たれた日本人技術者は、夢を実現させるため、発展が著しい韓国メーカーの誘いに乗り、韓国で働くことを決意します。そん…

『病巣』 - 巨大電機メーカーの「内憂外患」

「電機産業を扱った作品」の第三弾は、江上剛『病巣-巨大電機産業が消滅する日』(朝日新聞出版、2017年)。日本を代表する巨大電機産業・芝河電機の「内憂外患」の実情が描かれています。東芝がモデルになっていますが、グローバル化のなかで将来を模索す…

『小説 盛田昭夫学校』 - ソニーを育んだベンチャー精神

「電機産業を扱った作品」の第二弾は、江波戸哲夫『小説 盛田昭夫学校』(上下巻、プレジデント社、2005年)。井深大とともに、前身となる「東京通信工業」を創設し、巨大企業ソニーを築き上げた人物・盛田昭夫とその後継者たちの活躍を実名で描いたドキュメ…

『不況もまた良し』 - 松下幸之助の歩んだ道

1955~73年の高度成長期に「豊かな電化生活」を実現させた電機産業。続く1970~90年代には、多くの「メイド・イン・ジャパン」の「ハイテク商品」を世界市場に普及させ、日本経済の土台骨となりました。ところが、21世紀に突入する頃から、韓国・中国・台湾…

『Iの悲劇』- 市役所職員、限界集落の再生に挑む! 

「市役所職員を扱った作品」の第三弾は、米澤穂信『Iの悲劇』(文藝春秋、2019年)。6年前に無人と化した限界集落を再生しようとする「Iターン支援推進」。それは、市長が主導するプロジェクトです。ところが、担当部署に配属されたメンバーたちの行動には、…