経済小説イチケンブログ

経済小説案内人が切り開く経済小説の世界

2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧

『ハタラクオトメ』 - 仕事の9割は虚しいが、残りの1割には喜びも

「働く女性を扱った作品」の第四弾は、桂望実『ハタラクオトメ』(幻冬舎、2011年)です。働く女性の目線で、男性優位の会社の内実を見ていくと、不条理に満ち溢れていることがよくわかります。しかし、たとえ仕事の9割は虚しいものだとしても、残りの1割に…

『闘う女』 - 強い人間になると、自分に言い聞かせながらの闘いと葛藤

「働く女性を扱った作品」の第三弾は、朝比奈あすか『闘う女』(実業之日本社文庫、2015年)。夢を抱いていても、その夢を成就する才能も運も持ち合わせていないごく「普通の人」。寂しくて、不安に満ちて、母に甘えたいという本心を覆い隠し、寂しくない、…

『ガール』 - ガールとの決別! 働く30代女性の微妙な心情

「働く女性を扱った作品」の第二弾は、奥田英朗『ガール』(講談社文庫、2009年)。まだ「若い女の子=ガール」で通用するのか、もはやそうではないのか? そんな微妙な悩みに直面するのが30歳代の女性たち。彼女たちが直面する職場でのトラブル、悩み、行動…

『女たちのジハード』 - 五人五色の人生ドラマ

総務省が2019年7月30日に発表した同年6月の労働力調査によると、女性の就業者は3003万人。比較可能な1953年以降、初めての3000万人越えとなりました。また、女性の生産年齢人口(15歳~64歳)の就業率は71.3%に達しています。しかし、働く女性の増加ととも…

『セカンドステージ』 - 主婦に代わって、家事を代行してくれる会社

「起業を扱った作品」の第四弾は、五十嵐貴久『セカンドステージ』(幻冬舎文庫、2014年)。主婦として子育てと家事で苦労したという自らの経験が起業の動機になっています。マッサージ師と家事代行を派遣するという会社を起業したのは、二人の子どもを持つ3…

『ヒールをぬいでラーメンを』 - 起業への起爆剤は「憎しみ」! 

「起業を扱った作品」の第三弾は、栗山圭介『ヒールをぬいでラーメンを』(角川春樹事務所、2019年)。大手IT企業に勤めていた門坂有希は、突然のクビ宣告で茫然自失に。でも、自分を捨てた社長を見返すべく、ラーメン店を起業します。構想から開店までの全…

『トレジャー』 - 起業するときに不可欠なメンターの存在とは? 

「起業を扱った作品」の第二弾は、犬飼ターボ『トレジャー 成功者からの贈り物』(飛鳥新社、2010年)。働きがいを感じることなく、悶々とした日々を過ごしていた会社員の男性が、メンター(助言をくれたり指導してくれる人)のアドバイスのもと居酒屋を立ち…

『風のマジム』 - 沖縄の風に吹かれて育ったラム酒の製造会社を

かつての日本には、入社した会社で定年まで勤めるという「終身雇用」が幅を利かせていました。ところがいま、働き方が多様化してきています。また、自分自身の「働き方」を模索するなかで、転職や起業を経験する人も多くなっています。起業には、個人事業主…

『わたしの神様』 - 女性アナウンサーの暗部を浮き彫りにした稀有な作品! 

「テレビ局を扱った作品」の第五弾は、小島慶子『わたしの神様』(幻冬舎、2015年)です。著者はTBSの元アナウンサー。女性アナウンサーと彼女たちを取り巻くテレビ局における人間関係が赤裸々に描かれています。アナウンサーの思考様式、処世術、そして仕事…