2022-01-01から1年間の記事一覧
「書店を扱った作品」の第三弾は、山崎ナオコーラ『昼田とハッコウ』(講談社、2013年)。いとこであるとともに、小さい時から一緒に育てられ、25歳になった昼田実と田中白虹(ハッコウ)。ハッコウは、家業である「町の本屋・アロワナ書店」の店長。ただし…
「書店を扱った作品」の第二弾は、早見和真『店長がバカすぎて』(ハルキ文庫、2021年)です。書店を舞台に、「店長・小説家・社長・版元の営業・客」といった、周りの人たちを、皆バカ呼ばわりしながらも、なぜか辞めようともしない女性書店員・谷原京子の…
ネットで本を注文するときは、本のタイトルを検索し、紹介記事を参考にしたうえで、買うかどうかを判断します。関連した本に注意を払うことは、まずありません。便利ではあるものの、買い物をするときのワクワク感はほとんど感じられません。他方、リアルな…
「探偵を扱った作品」の第二弾は、柴田よしき『神の狩人 2031探偵物語』(文藝春秋、2008年)。老人問題、人口減少、整形、自殺、ドラッグなど、現代の「闇」が凝縮された2031年の東京が舞台。20年前に引退した風祭恭平の助けも借りながら、難題に立ち向かう…
ある人物が行方不明。どんな行動をしているのかわからない。そのようなとき、調査を依頼すると、情報を集めてくれる仕事を請け負ってくれる探偵。聞き込み、尾行、張り込みなど、ときには警察官が犯罪者を追い込んでいくのと似通った行為も行います。具体的…
「図書館を扱った作品」の第二弾は、門井慶喜『おさがしの本は』(光文社文庫、2011年)。入職7年目の図書館員和久山隆彦の視点で、N市立図書館が抱える問題点を浮き彫りにした連作短編集。「本探し」を軸にした五つの話を通して、本・図書館・司書のパワー…
「知の宝庫」と言われる図書館。2021年における公共図書館は3316。職員の内訳をみてみると、専任職員9459名、兼任職員1100名、非常勤職員13,629名、臨時職員4068名、委託・派遣14,516名となっています。地方自治体の財政の悪化に伴う人件費削減のあおりで、…
「移動販売を扱った作品」の第二弾は、原宏一『佳代のキッチン』(祥伝社文庫、2013年)。「いかようにも調理します!」 そのような看板を掲げ、持ち込まれた食材で料理を作る佳代の「移動調理屋」=キッチンカー物語。目的は、15年前、中学三年生のときに「…
特定の店舗を持たず、自動車などで商品を販売する「移動販売」。住宅街やオフィス街、駅前、イベント会場といった人がたくさん集まる場所だけではありません。店があまり存在しない地域や、過疎地などでも導入されています。高齢化が進展する日本で増加して…
「監査法人を扱った作品」の第三弾は、杉田望『不正会計』(講談社文庫、2009年)。金融庁による業界再編という指導のもと、中央と青山が合併して設立された中央青山監査法人。その崩壊もまた、金融庁の「意向」と大きく関わっていたようです。同監査法人を…
「監査法人を扱った作品」の第二弾は、細野康弘『小説会計監査』(東洋経済新報社、2007年)。かつて四大監査法人の一角を占めていた中央青山監査法人は、2006年に金融庁より業務停止処分を受けました。著者の細野は、同監査法人に身を置いた公認会計士でし…
難関とされる国家資格の代表例のひとつに、公認会計士があります。会計士は、主に企業の「成績表」である財務諸表が適正に作成されているのかをチェックする役割(=監査業務)を担っています。それによって財務諸表の信頼性が保証され、銀行や投資家の融資…
「弁当屋を扱った作品」の第二弾は、山本甲士『ひなた弁当』(小学館文庫、2017年)です。「自分が調達した食材を使って弁当を作り、路上で販売する」弁当屋の物語。リストラで追い詰められた49歳の男性が、本人も気づいていなかった潜在能力を見出し、たく…
多くの日本人が日常的にお世話になっているお弁当。その原型は、結構古い時代にまでさかのぼることができます。例えば、「幕の内弁当」は、歌舞伎などの幕間に出された弁当に由来しています。また、鉄道駅や列車内で販売される駅弁も、19世紀末には広く知ら…
「バイオハザード(生物災害)を扱った作品」の第三弾は、くろきすがや『感染領域』(宝島社文庫、2018年)です。人為的に作られた謎のウイルスによって引き起こされたトマトの異変から始まり、全植物の絶滅につながりかねない事件の顛末を描いたバイオサス…
本ブログへのアクセス数が1万を突破したのが20年10月、2万を突破したのが21年9月のこと。そして、この11月4日に3万を突破しました。ご覧になってくださった方々には、お礼を申し上げます。 毎回、特定のテーマを決めて、2冊以上の作品を紹介するというスタ…
「バイオハザード(生物災害)を扱った作品」の第二弾は、安生正『レッドリスト 絶滅進化論』(幻冬舎文庫、2020年)。ウイルスではなく、高等な哺乳類の急激な進化により、人類が絶滅の危機に直面するというバイオハザードが描かれています。レッドリストと…
バイオハザード(生物災害)。ウイルスや細菌といった病原微生物や寄生虫などが原因となり、人間の生命や健康、さらには農業・畜産業にも影響を与える災害のことです。非意図的または偶発的に起こった事故(実験室や病院内から外部への漏出)と意図的に引き…
「企業買収を扱った作品」の第三弾は、額賀澪『弊社は買収されました!』(実業之日本社、2022年)です。なにも事情を知らされず、突如として他社に買収されることとなった石鹸会社の社員たちの不安と期待や、企業買収のデメリットとメリットが浮き彫りにさ…
「企業買収を扱った作品」の第二弾は、牛島信『第三の買収』(幻冬舎、2007年)です。M&A のひとつに、MBO (マネジメント・バイアウト)と呼ばれる手法があります。それは、企業の経営陣が投資ファンドや金融機関から資金を調達し、既存の株主から自社の株…
株式を上場している限り、だれかに株式が買い占められ、乗っ取られるという懸念は完全に払しょくできません。実際、企業買収、M&A(合併と買収)、TOB(株式公開買い付け)といった言葉は、いまではごく日常的に起こりえることとして広く知られています。ち…
「ホテルコンシェルジュを扱った作品」の第二弾は、門井慶喜『ホテル・コンシェルジュ』(文春文庫、2015年)です。「ホテルポラリス京都」が舞台。そこに長期滞在している大学生の桜小路清長が持ち込んでくる厄介ごとの数々に、コンシェルジュの九鬼銀平と…
旅先のホテルで、なにか困ったことが起こり、だれかに聞いてみたいと思ったことはありませんか? そんなとき、適切なアドバイスやサポートをしてくれるのが、コンシェルジュです。彼らが詰めているデスクは、「総合案内所」であり、「なんでも相談所」でもあ…
「石油を扱った作品」の第三弾は、黒木亮『エネルギー』(上下巻、角川文庫、2013年)。イランで発見された新油田をめぐる日本の通産省・商社の思惑と外国企業を引っ張り込みたいイラン側の思惑、「日の丸」油田に対するアメリカの横やり、サハリンの巨大ガ…
「石油を扱った作品」の第二弾は、杉森久英『アラビア太郎』(集英社文庫、1981年)です。巨大な石油メジャーに対抗し、ズブの素人であるにもかかわらず、無謀にもペルシア湾での油田開発に挑戦し、成功した最初の日本人。「アラビア石油」の創業者である山…
自動車、飛行機、船などを動かすエネルギーとしてだけではなく、プラスチック・ペットボトル・ビニールといった日用品や、化学繊維による衣料の原料としても広く使われている石油。石油の獲得をめぐる争いは常に熾烈で、現代史を彩るメインテーマのひとつに…
「ヘッジファンドを扱った作品」の第二弾は、波多野聖『黄金の稲とヘッジファンド』(角川文庫、2021年)。国内で最大級のヘッジファンドと称される金融機関があります。農業協同組合、森林組合、漁業協同組合の系統中央機関の役割を有する金融機関である農林…
舞台は為替、債券、株式などの金融市場。突然出現し、空売りや裁定取引、デリバティブ(金融派生商品)といった高度な手法を駆使して、集中的に投機行為を行います。マーケットを荒らし、膨大な利益をもぎ取っては去ってしまいます。それが、ヘッジファンド…
「家裁調査官を扱った作品」の第二弾は、柚月裕子『あしたの君へ』(文芸春秋、2016年)。家裁調査官になるためには、まずは裁判所職員採用総合職試験に合格することが必要です。さらに、2年間の養成課程研修を受けます。研修を受けている間は「家裁調査官補…
家庭裁判所(略して「家裁」)とは、離婚・遺産相続をはじめとする家庭内のあらゆる問題(家事事件)と少年が起こした事件(少年事件)を扱う裁判所のこと。全国に50ケ所。支部が203ケ所、出張所が77ケ所あります。家裁でいう「少年」とは、罪を犯した場合に…