経済小説イチケンブログ

経済小説案内人が切り開く経済小説の世界

2023-02-01から1ヶ月間の記事一覧

『独りの時間をご一緒します』 - 見ず知らずの他人であるからこそ、癒される

「すきま仕事を扱った作品」の第二弾は、沢木まひろ『独りの時間をご一緒します』(宝島社文庫、2015年)。報われない日々に疲れ果てていた葉山遊がスカウトされ、「伴い屋」として働き始めます。便利屋業やホスト業とは、似ているようで違うようです。依頼…

『旅屋おかえり』 - 依頼を受けて旅を代行するというお仕事

大企業などが進出しない非常に小規模な事業は、「隙間産業」あるいは「ニッチ市場」といった言葉で呼ばれています。では、それらのレベルにも届かない、さらに特化したビジネスはあり得ないのでしょうか? もしこんなビジネスがあれば楽しいとか、人のために…

『永遠の旅行者』 - どの国にも居住せず、世界を渡り歩く

「税金を扱った作品」の第二弾は、橘玲『永遠の旅行者』(上下巻、幻冬舎文庫、2008年)。納税は国民の義務なのですが、唯一の例外は、「永遠の旅行者」(PT)になることです。永遠の旅行者とは、どの国の居住者にもならず、合法的に一切の納税義務から解放…

『会計探偵クラブ』 - 確定申告書から見える税金の世界

2月16日。令和4年分所得税等の確定申告の相談および申告書の受付が始まります。多くの人にとって、税金という言葉が最も身近に感じられる時期です。税は、社会に不可欠な公共財の財源。勤労や教育とともに、納税は、国民の三大義務のひとつとされています。…

『雄気堂々』 - もうひとつの渋沢栄一像

「渋沢栄一を扱った作品」の第二弾は、城山三郎『雄気堂々』(上下巻、新潮文庫、1972年)。「血洗島の一農夫」でしかなかった渋沢栄一。妻・千代との結婚から彼女の死に至るまでの期間、栄一がどのように考え、行動したのか? 栄一の半生が描かれています。…

『渋沢栄一 人間の礎』 - 「日本資本主義の父」と呼ばれた男

いまの一万円札を彩るのは、福沢諭吉の肖像です。ところが、2024年に発行される新一万円札では渋沢栄一(1980~1931年)に代わります。2021年のNHK大河ドラマ『青天を衝け』の主人公。現代日本の経済的な基盤を創り上げた人物として広く知られています。数々…

『ただいま家事見習い中』 - 家事代行会社って? 

「家事を扱った作品」の第二弾は、鯨統一郎『ただいま家事見習い中-ハウスワーク代行・亜美の日記』(中公文庫、2018年)。家政婦のように一日単位ではなく、一時間単位で家事を請け負う家事代行会社。個人宅と家事代行会社が契約を結ぶので、従業員は会社…

経済小説イチケンブログ4周年

「経済小説イチケンブログ」を始めて、ちょうど4年が経過しました。この1年間、「作品紹介」の中で取り上げた作品数は103点。取り上げたテーマ数は、以下の通り35となりました。 4周年目の特集テーマ一覧 99 政治家 100 ウラ・ビジネス 101 メガバンク 102 …

『対岸の家事』 - 家事と仕事のバランスを考える

どの家庭でも日常的に行われている家事。内容としては、買物、炊事、掃除、洗濯といったベーシックなものから、家計の管理、育児、家族の健康管理、冠婚葬祭のつきあい、さらには高齢者のケアや資産運用に至るまで、非常に広範囲なものとなっています。かつ…