作品紹介-1年目
「映画に因んだ作品」第二弾は、浜口論太郎『AI崩壊』(講談社文庫、2019年)。つい先日、1月31日に公開の『AI崩壊』(監督・脚本=入江悠、主演=大沢たかお、出演=賀来賢人、広瀬アリス、岩田剛典)の小説版です。国民の健康・医療を支えるだけではなく、…
ほんの少し前に新年を迎えたように思っていたのが、早くも1ケ月が過ぎようとしています。寒い日のアウトドア・スポーツも一興。温かい映画館で映画を鑑賞するのもまた、一興ではないでしょうか。そこで、今回は最近公開された「映画に因んだ作品」を二つ紹介…
「社会保障を扱った作品」の第二弾は、柚月裕子『パレートの誤算』(祥伝社、2014年)。社会保障の重要な一角を担う制度に、生活保護があります。この本は、生活保護の実態をリアルに描いた経済小説であるとともに、生活保護の最前線での激務を担うケースワ…
いま、政府レベルでの最重要課題として注目されているものに、「すべての世代が安心できる全世代型社会保障」の充実があります。先月まとめられた全世代型社会保障検討会議の中間報告で打ち出されたひとつの柱は、高齢者の就労促進などによる社会保障の「支…
「株を扱った作品」の第四弾は、城山真一『ブラック・ヴィーナス 投資の女神』(宝島社、2003年)。わずかな金さえあれば、どれだけでも金を増やすことができる「株の天才」。そのようにうわさされるのは、「黒女神」こと、二礼茜。銀行に見放された人物など…
「株を扱った作品」の第三弾は、樹林伸『ビット・トレーダー』(幻冬舎、2007年)。ジェットコースターのごとく急上昇と急下降を繰り返す株価の変動に翻弄される「デイ・トレーダー」の姿がリアルに再現されています。デイ・トレーダーとは、株を中長期的に…
「株を扱った作品」の第二弾は、津本陽『最後の相場師』(角川文庫、2007年)です。主人公である佐久間平蔵のモデルは、是銀こと、是川銀蔵。彼の自叙伝(『相場師一代』。原題は、『自伝波乱を生きる』1991年)を読むと、挫折と再起を何度も繰り返し、激動…
毎日、新聞・ネット・テレビなどで必ず取り上げられるものに、株価の変動があります。個人投資家にとって、株価は収益を左右する重要なファクター。その動きに一喜一憂している人も多いことでしょう。他方、企業にあって、株は、最も重要な資金の調達手段に…
「新生」を扱った作品の第二弾は、山本一力『ずんずん!』(中央公論新社、2016年)です。前回の作品は、「逆転の発想」という考え方に即した小説だったのですが、今回は、「温故知新」の考え方に沿って、新しいものを創出していく姿を描いています。江戸時…
2020年がスタートしました。「今年こそは、これをしよう」「あれを試してみよう」「これをめざそう」と、新しいことに取り組む方もおられるのではないでしょうか。そこで、今回は、「新生」、つまり新らたなことを追求するときに参考にできる二つの作品を紹…
「百貨店を扱った作品」の第三弾は、高殿円『上流階級 富久丸百貨店外商部』(光文社、2013年)。百貨店でのショッピングと言えば、店舗における接客を通した買い物をイメージするのが一般的。ところが、売り場ではなく、直接顧客に販売するという形もあるの…
「百貨店を扱った作品」の第二弾は、村山早紀『百貨の魔法』(ポプラ社、2017年)です。百貨店は、お客様を笑顔に、そして幸せにするための「魔法の舞台」。倒産の危機に瀕した百貨店で、店を守ろう、地元に愛され続けようと懸命に努力する人たちの姿、さら…
かつて、モノがまだ少ない時代にあって、多種多様な商品を陳列する百貨店は、まさに小売業界の雄にふさわしい存在でした。なかでも、高度成長期(1955-73年)には、多くの人に「素敵な暮らしの夢」を与えました。しかし、その後、顧客の求める商品の多様化…
「災害を扱った作品」の第五弾は、高嶋哲夫『富士山噴火』(集英社、2015年)。富士山の大噴火がもたらす災害の様相が克明に描かれています。大噴火の結末に待ち受けている驚くべき富士山の新しい姿とは? 高嶋哲夫の作品を再度取り上げました。 [おもしろさ…
「災害を扱った作品」の第四弾は、高嶋哲夫『ジェミニの方舟-東京大洪水』(集英社、2008年)。中心気圧807ヘクトパスカル、最大風速77メートルという史上まれにみる超巨大台風が首都圏を襲えば、いかなる事態が引き起こされるのかを予測した警告の書。その…
「災害を扱った作品」の第三弾は、石黒耀『震災列島』(講談社文庫、2010年)。最近の研究データに基づいて、もし東海地震が起きれば、いかなる事態が生じるのかを予測した警告小説です。東海地震の渦中、娘の仇を討つため、復讐計画を練り上げ、実行する男…
「災害を扱った作品」の第二弾は、岳真也『小説帝都復興』(PHP研究所、2011年)です。巨大地震が多くの建物を破壊する災害であることに、異論の余地はありません。ただ、巨大地震からの復興事業が被災地の再生に大きく寄与した事例があることもまた、歴史的…
日本は、自然災害が非常に多い国のひとつです。太平洋プレート、フィリピンプレート、ユーラシアプレート、北米プレートがせめぎあうことで、大きな地震が起こる確率は非常に高いからです。毎年、勢力の強い台風が日本列島を通り、甚大な被害をもたらします…
「農業を扱った作品」の第四弾は、誉田哲也『幸せの条件』(中央公論新社、2012年)。農業活性化の方策として考えられている「異業種による農業への参入」や「エネルギー問題への貢献という農業の新しい可能性」が扱われています。また、「農業オンチ」の主…
「農業を扱った作品」の第三弾は、荻原浩『ストロベリーライフ』(毎日新聞出版、2016年)。農業の未来をどうするのか? 農業はこんなにも重労働なのに儲からないのはどうしてなのか? 農家の子どもが家業を継ぎたくない理由は、どこにあるのか? そうした問…
「農業を扱った作品」の第二弾は、黒野伸一『限界集落株式会社』(小学館、2011年)です。日本の農村がおかれている状況や再生の方向性を知ることができる作品。具体的には、組合法人による農業への参入という問題に焦点を合わせ、活性化の方策が模索されて…
私たちの生命は、食べ物から栄養を取ることで維持されています。近年、その食べ物に対する関心が非常に広がっています。ところが、そうした食べ物生産の現場である農業のこととなると、多くの人は、まったくと言ってよいほど、知識を持っていません。日本の…
「定年を扱った作品」の第五弾は、原宏一『極楽カンパニー』(集英社文庫、2009年)。会社べったりの生活に生きがいを感じてきた会社員にとって、定年とはいかなる意味を持つのでしょうか? ある意味、それは「生きがいの喪失」につながりかねません。この本…
「定年を扱った作品」の第四弾は、江上剛『円満退社』(幻冬舎文庫、2007年)。円満に退社できれば、退職金をもらって、あとは自由な生活が待っている。そんな夢を描きながら、「最後の勤務日」を迎える銀行支店長。ところが、数々の不祥事が次から次へと起…
「定年を扱った作品」の第三弾は、浅田次郎『ハッピー・リタイアメント』(幻冬舎、2009年)。定年を目前に控えた多くの人たちにとっての大きな関心事のひとつに、再就職先の確保という問題があります。本書の主人公は、地位も名誉も金もない55歳の二人の男…
「定年を扱った作品」の第二弾は、内館牧子『終わった人』(講談社文庫、2018年)です。大手銀行で出世コースを歩むものの、子会社に出向・転籍され、達成感を得られぬまま定年退職を余儀なくされた男の葛藤が描写。舘ひろしさんと黒木瞳さんが出演し、2018…
定年制度が一般化しているわが国。自営業を除けば、働いている人の大半が遅かれ早かれ定年を迎えます。それは「第二の人生」の始まり。労働者にとっては、「最大にして最後のドラマ」と言えるかもしれません。会社や組織のしがらみから解放されます。自由に…
「新聞を扱った作品」の第四弾は、本城雅人『紙の城』(講談社、2016年)。新聞社を買収しようとするIT企業と、それを阻止しようとする新聞社の戦いが描かれています。と同時に、新聞業界の問題点と改革の方向性についても興味深い論点が提示されています。 …
「新聞を扱った作品」の第三弾は、楡周平『虚空の冠』(上下巻、新潮社、2011年)。終戦後、新聞記者としてキャリアをスタートさせた渋沢大将という男が、新聞、ラジオ、テレビといった昭和のメディアをすべて手に入れたあと、人生最後のチャレンジとして、…
「新聞を扱った作品」の第二弾は、幸田泉『小説 新聞社販売局』(講談社、2015年)です。新聞社の販売部から見た新聞販売の最前線と担当者の苦悩にズバリ踏み込んだ作品。また、かつては「儲かる商売」と言われた販売店と新聞社との間に横たわっている歴史的…