経済小説イチケンブログ

経済小説案内人が切り開く経済小説の世界

作品紹介-4年目-110.証券会社を扱った作品

『投資アドバイザー有利子』 - 自己責任+リスクへの覚悟+アドバイス=資産運用

「証券会社を扱った作品」の第五弾は、幸田真音『投資アドバイザー有利子』(角川書店、2002年)です。顧客目線で資産運用の相談に乗ってくれる財前有利子(ざいぜん ありこ)のプライド・信念・生きがいが描写。また、運用されている金融商品、デイ・トレー…

『会社葬送』 - 山一證券の最後を看取った男たち

「証券会社を扱った作品」の第四弾は、江波戸哲夫『会社葬送 山一證券最後の株主総会』(新潮社、2001年)です。1897年に創業され、野村、大和、日興とともに「四大証券」の一角を担っていた山一證券。ところが、損失補填や「にぎり」など、相次ぐ不祥事を重…

『小説兜町』 - 株屋から証券会社へ:転換期の実相

「証券会社を扱った作品」の第三弾は、清水一行『小説兜町(しま)』(角川文庫、1983年)です。日本資本主義のメッカと称される株の町・兜町。そこで「最後の相場師」と言われつつも、「株屋から証券会社への近代化」の過程で、証券会社を追われていく山鹿…

『百戦百勝』 - 戦前の米相場と株相場がリアルに

「証券会社を扱った作品」の第二弾は、城山三郎『百戦百勝 働き一両・考え五両』(角川文庫、1979年)です。「山種証券」の創始者で、「相場の神様」と言われた山崎種二がモデル。寒村の貧しい農家で生まれ、東京の米問屋の小僧として働くようになる主人公の…

『大番』 - 証券会社の「昔と今」

東京証券取引所があり、「日本のウォール街」とも呼ばれている日本橋兜町。戦前は、「シマ」と呼ばれました。そこは、玄人の投資家や相場師たちが躍動する世界で、営業する証券会社は「株屋」と称されていました。ところが高度成長期、「素人の個人投資家」…