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『ジェミニの方舟-東京大洪水』 - 中心気圧807ヘクトパスカルの超巨大台風

「災害を扱った作品」の第四弾は、高嶋哲夫ジェミニの方舟-東京大洪水』(集英社、2008年)。中心気圧807ヘクトパスカル、最大風速77メートルという史上まれにみる超巨大台風が首都圏を襲えば、いかなる事態が引き起こされるのかを予測した警告の書。その後、『東京大洪水』に改題。

 

[おもしろさ] 東京を直撃するときのパワーのすさまじさ

地球の温暖化が進むと、台風の数は増加し、個々の台風もより強く、大規模なものになっていきます。この本に登場する超巨大台風が東京を直撃するときのパワーは想像を絶するすさまじさ。読む人の度肝を抜く近未来小説です。ジェミニとはふたご座の意味。埋立地、網の目のように広がる地下鉄網と地下街をもつ東京。いつ起きてもおかしくない首都水没への警鐘でもあります! 

 

[あらすじ] 超巨大台風から東京を守れるのか? 

主人公の玉城孝彦34歳は、東都大学理工学部地球物理学科の講師。昨年から静岡県にある日本防災研究センターに出向している気象の専門家。とりわけスーパーコンピューターを使っての台風の発生メカニズムや成長プロセス、そして進路予想を行う気象シミュレーションに取り組んでいます。妻の恵子は、大手建設会社オーシャン建設に勤務する一級建築士。荒川の河岸にある「スーパー堤防」に42階建ての超高層マンション・リバーサイド・ビューを3棟建設中。ある日のこと、孝彦は、23号と24号という二つの台風が合体してできた超巨大台風ジェミニが東京を襲うことを予測し公表します。それから東京を守る方策とは? 超巨大台風が巻き起こす大パニック。それを防ごうとする玉城たちの手腕はどのように発揮されるのでしょうか? 

 

東京大洪水 (集英社文庫)

東京大洪水 (集英社文庫)