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『就活の神さま』 - 「ごくフツーの学生」の就活物語

「就職活動を考える作品」の第二弾は、常見陽平『就活の神さま』(WAVE出版、2011年)です。一弾目の『シューカツ!』の登場人物が、どちらかといえば「優等生」だったのに対して、この本の主人公は「ごくフツーの学生」です。全く自信のなかった主人公が、就活の就活の神さまからの指導を受けて、「『納得内定』に導いた22の教え」をひとつひとつ実践し、就活に挑む姿が描かれています。

 

[おもしろさ] スゴイことなどないと思い込んでいる学生でも! 

多くの学生には、たとえシューカツを早く始める必要性を感じていたとしても、重い腰を上げることは、けっして簡単なことではありません。すべてが不安に感じられるからです。自己PRの材料を見出せない人のアクションは、いっそう遅れがちになってしまいます。しかし、行き当たりばったりで、活動を始めても、なかなかうまくいきません。そのような学生には、だれかに相談するなり、アドバイスをしてくれる本を読んだりすることが望まれます。この本の魅力は、就職に対する意識が希薄な主人公の学生・斉藤晃彦に対する、ジミーさんというメンターの的確なアドバイスそのものにあります。彼のアドバイスは、シンプルで、わかりやすくて、しかも具体的。あたかも「神さま」のごとく、彼を導いていきます。ジミーさんのアドバイスの根底には、たとえスゴイことなどないと思い込んでいる学生でも、視点を変えて自らの人生を振り返えれば、またそれなりの努力をしていけば、必ず「なにか」を見出し、「なにか」に出会うはずだという信念があったのではないでしょうか! 

 

[あらすじ] 成長物語はアドバイス→行動→変化! 

斉藤晃彦は、成長意欲やチャレンジ精神がまったく欠けた大学三年生。事実、これまでの学生生活は、義務的な授業への出席と、SMOKEという名前のロック・カフェでアルバイトをしたことだけ。ボランティア・海外経験・資格・特技といった、履歴書やエントリーシートに特記できるような、「誇れること・スゴイこと」とはいっさい無縁の人生を過ごしてきました。彼は、そろそろ就活を始めなければとは思っているものの、なにをどのようにやっていけばよいのか、まったくわからない状態に陥っています。焦りまくる彼は、SMOKEのオーナー兼マスターであるジミーさんの指導を受けることに。彼の本名は木下正夫。かつて、日本で最大手の広告代理店である博通エージェンシーで新卒採用を担当していた人物でした。ジミーさんのアドバイスを受けて晃彦は行動し、変わっていくことになります。

 

就活の神さま?自信のなかったボクを「納得内定」に導いた22の教え?

就活の神さま?自信のなかったボクを「納得内定」に導いた22の教え?