経済小説イチケンブログ

経済小説案内人が切り開く経済小説の世界

作品紹介-5年目-170. 職人を扱った作品

『洗濯屋三十次郎』 - どこまでも不器用な男が感じ、行ったこと

「職人を扱った作品」の第三弾は、野中ともそ『洗濯屋三十次郎』(光文社文庫、2021年)。大手の取次チェーンではない、個人経営の小さなクリーニング店「中島クリーニング」。その店長になったのは、地味で、不器用で、自分からは動こうとしない、クリーニ…

『虹にすわる』 - 椅子づくりと格闘する職人ふたり

「職人を扱った作品」の第二弾は、瀧羽麻子『虹にすわる』(幻冬舎文庫、2022年)。「真面目一筋で、細かいことにも目が届き、木工技術には光るものを持っている徳井律」と「真面目とは言いにくいものの、独創的なデザイン力を有している魚住光」。対照的な…

『削り屋』- 職人たちが織りなす「奥深い世界」

「職人気質」という言葉があります。「自分の腕に絶対的な自信を持ち、頑固で実直な気質」を意味しています。モノの生産に機械が導入される前、すべては「手作り」でした。そこでは、「モノの生産者=職人」という等式が成り立ちました。しかし、技術が発展…