経済小説イチケンブログ

経済小説案内人が切り開く経済小説の世界

作品紹介-1年目-2.企業をモデルにした作品

『価格破壊』 - スーパーマーケットの定着を阻んだ高い壁

「企業をモデルにした作品」の第六弾は、城山三郎『価格破壊』(角川文庫、1975年)です。この本は、日本にスーパーマーケットを定着させる過程で大きな役割を果たしたダイエーと、その創業者で流通革命の旗手と称された中内功をモデルにしています。同社は…

『お家さん』 - かつては日本一の商社であった鈴木商店の立役者

「企業をモデルにした作品」の第五弾は、玉岡かおる『お家さん』(上下巻、新潮文庫、2010年)です。大正から昭和の初めにかけて、三井や三菱を凌ぎ、日本一の年商を誇った巨大商社・鈴木商店の成り立ち・発展・没落の歴史が、「お家さん」と称された同店女…

『トヨトミの野望』 - グローバル自動車企業の光と影

「企業をモデルにした作品」の第四弾は、梶山三郎『トヨトミの野望』(講談社、2016年)です。1990年代以降にトヨトミ自動車がたどった歴史が描かれています。トヨトミ自動車のモデルと目されているのは、世界最大級の自動車会社・トヨタです。企業が大きく…

『本屋稼業』 - 紀伊國屋書店:文化の創造を志向し続けた本屋の歴史

「企業をモデルにした作品」の第三弾は、波多野聖『本屋稼業』(角川春樹事務所、ハルキ文庫、2017年)。紀伊國屋書店の誕生・発展のプロセスを実名で描いた作品です。1927年、田辺茂一が21歳の時に創業したのが紀伊國屋書店。戦後の46年に法人化され、株式…

『黄色いバスの奇跡』 - 倒産寸前のバス会社が地域で愛される会社に変貌

「企業をモデルにした作品」の第二弾は、吉田理宏『黄色いバスの奇跡』(総合法令出版、2013年)です。第一弾と同様、「企業の再生・活性化」を扱った作品。今回のモデルは、北海道帯広市にある十勝バス(略称勝バス)です。かつて倒産寸前まで追い込まれた…

『奇跡の改革』 - 富士フイルムによる「アスタリフト」の開発物語がモデル

経済小説の対象として、最も大きなウエイトを占めるのは、企業を扱った作品です。かつて「経済小説=企業小説」と考えられていたのは、そうした理由があったからです。さらに、企業を素材にした作品のなかには、実在の企業をモデルにした小説が多くあります…