経済小説イチケンブログ

経済小説案内人が切り開く経済小説の世界

作品紹介-2年目-33.出版社を扱った作品

『ミリオンセラーガール』 - 売り方次第で、本は売れる! 

「出版社を扱った作品」の第四弾は、里見蘭『ミリオンセラーガール』(中公文庫、2015年)。この本のヨコ軸で描かれるのは、出版界という巨大な制度・慣行・システムの全体像と、それを変革していくことの重要性。本の販売制度、書店営業のイロハをはじめ、…

『任侠書房』 - ヤクザが出版社を再建する?!

「出版社を扱った作品」の第三弾は、今野敏『任侠書房』(中公文庫、2007年)。ヤクザの阿岐本組が崩壊寸前の組織を再建する「任侠シリーズ」の第一作目『とせい』を改題したもの。ヤクザという「裏稼業」に生きる男たちの知恵や行動力が、出版社という「表…

『夢を売る男』 - 「客は読者じゃなくて著者」:自費出版の世界

「出版社を扱った作品」の第二弾は、百田尚樹『夢を売る男』(太田出版、2013年)。本を書きたいという人にとって、自分の本が出版されることはまさに「夢」。そんな「夢をかなえる丸栄社という名の出版社」を舞台にした型破りのブラックコメディ。もっぱら…

『裁断処分』 - 出版業界の「末期的症状」が! 

「本が売れない」。多くの人が聞かれていることでしょう。出版不況という言葉がささやかれるようになったのは、1990年代末のこと。書籍・雑誌の販売額は、その後右肩下がりに減少。ピーク時(1996年)の2兆6563億円と比較すれば、おおむね半減しているのが、…