経済小説イチケンブログ

経済小説案内人が切り開く経済小説の世界

作品紹介-2年目-53.個人商店を扱った作品

『メゾン刻の湯』 - まろやかな極上の文章に綴られて

「個人商店を扱った作品」の第四弾は、小野美由紀『メゾン刻の湯』(ポプラ社、2018年)。東京・下町にある明治43年創業の昔ながらの薪で湯を沸かす銭湯「刻の湯」が舞台。銭湯でのお仕事内容、業界が抱える苦境、刻の湯で暮らしている「訳ありさん」たちの…

『まほろ駅前多田便利軒』 - 対照的な二人の人物が織りなす一つの物語

「個人商店を扱った作品」の第三弾は、三浦しをん『まほろ駅前多田便利軒』(文春文庫、2009年)。便利屋というお仕事の本質と苦楽が描かれています。庭にある猫の死骸を片づけてほしい。外れてしまった押し入れのつっかえ棒を取り付けてほしい。夜逃げした…

『開ける男』 - 鍵屋に持ち込まれる多様な依頼と難題

「個人商店を扱った作品」の第二弾は、本田久作『開ける男 鍵屋・圭介の解けない日常』(ポプラ文庫、2018年)。鍵屋の仕事は、開かない錠を開けること。深夜の依頼も多く、ヤバイ仕事の依頼もまれではありません。鍵屋に持ち込まれるさまざまな依頼と難題に…

『家電の神様』 - 「街の電器屋さん」の生き残る道が提示! 

日本各地で商店街の多くがいま、危機に陥っています。「シャッター通り」になっているところも例外ではありません。衰退を促した最大の理由は、大型のショッピングセンターとの競争激化にあると考えられています。見方を変えれば、商店街とは「道路に沿って…