経済小説イチケンブログ

経済小説案内人が切り開く経済小説の世界

経済小説作家として堺屋太一さんが遺されたもの!

本日、堺屋太一さんの訃報に接し、とても残念な気持ちです。
彼の業績は多岐にわたっていますが、経済小説案内人しては、彼の代表作である『団塊の世代』と『油断!』を思い起こさざるを得ません。
前者は、高齢化社会に突入する前に、深刻な中高年問題が引き起こされることを予見した作品です。21世紀から見ると、かつて高度成長をもたらした人たちは、日本経済を発展させた「功労者」というより、まだまだ余力があった時期無為無策で過ごし、ツケを将来に繰り延べた「責任者」として考えられるかも知れないという問題提起をされています。
一方、後者は、「もし日本への石油輸入が3割に減ると200日間に、300万人の生命と全国民財産の7割が失われる」という、これまたショッキングな内容の小説なのです。
いずれも、近未来予測経済小説の最高傑作といえるものです。
そうした作品のあとも、『世紀末の風景』『平成三十年 何もしなかった日本』『エキスペリエンス 団塊の7人』『団塊の秋』といった近未来小説を書かれている堺屋太一さん。
「事業というものはみな、夢で始まり、情熱で続き、義務感で完成するもんや」という、彼の言葉は、私の心に深く刻まれています。

ご冥福をお祈りしています。