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『拝金』 - お金を手にしないとわからない世界が! 

「おカネを題材にした作品」の第三弾は、堀江貴文『拝金』(徳間書店、2010年)です。謎のオッサンがフリーターの青年を「金で買えないものはない」と言えるぐらいのお金持ちに変えていくというストーリー。著者は、ライブドアの元社長。

 

[おもしろさ] 金が醸し出す甘味な世界でつくられるものとは? 

文無しの青年がお金持ちになると、いったいどのようになっていくのでしょうか? そのときの変化を見てみたいと思った、あるお金持ちが、壮大な「実験」を始めました。徐々に変わっていく主人公の姿を通して、「お金とは」「お金持ちとは」「お金と欲望の関係」といった根本的な問いかけに対する、著者の考え方が浮き彫りになっていきます。「金が醸し出す甘美な世界では、決して味わいつくせないものが、確かに、この世には存在するんだ」。含蓄のある表現の数々が読者の心に響いていきます。

 

[あらすじ] 謎のオッサンに導かれたサクセスストーリーの裏には

「藤田優作、君はどれくらいの金持ちになりたい? 」と切り出すオッサンに対して、「そうだな、金で買えないものはない、そう言えるくらいかな」と俺。「わかった、それでいこう」とオッサン。俺は藤田優作、謎だらけのオッサンは堀井健史。20歳で上京してから4年が経過したとき、そうしたやり取りが契機となり、優作の運命は大きく変わっていきます。俺は、オッサンからビジネスのやり方を学び、オッサンから借りた200万円を元手に、「鳩ゲーム」を考案し、無料でできるゲームに仕立て上げました。こうして、携帯ゲーム事業に参入し、それを成功させたうえで、ネクサスドアに改組して上場。その後、M&Aを駆使し、時価総額2000億円の大手IT企業に成長させていきます。しかし、俺とオッサンの間に亀裂が入ることになり、事態は急展開していきます。

 

拝金 青春経済小説

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