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『ハケン芸人』 - 芸人の力で、ダメ社員の改造・変身を図る! 

「芸人を扱った作品」の第三弾は、田中イデアハケン芸人~伝説のコンサルタント芸人・ポックリ小林の教え~』(扶桑社、2011年)。「お笑い芸人」に対して、おもしろさよりも楽しさや癒しを求める「アイドル芸人ブーム」が巻き起こるなか、22歳のポックリは、おもしろさだけを追求する「正統派」の芸人を志向。そんな彼が、芸能界からの永久追放を契機として始まった世界放浪の旅を終え、15年ぶりに帰国。今度は日本初、いや世界初の「コンサルタント芸人」として、依頼を受けた企業に赴き、「ダメな男性社員」「ダメな女性社員」「ダメな上司」の改造・変身を指南します。

 

[おもしろさ] 意表を衝いたユニークなアドバイスの数々

ポックリ小林が指南するのは、以下の三人。一人目は、広告代理店の社員である白川雄二(入社3年目の25歳。言われたことしかやらない。すぐに答えを求めてくる。注意されるとすぐめげる)。二人目は、おもちゃの企画開発から製造販売まで一貫して手掛けている玩具メーカーの企画部から2年前に左遷され、赤羽店の店長をしている月島桃子(入社9年目の31歳。何の変化もない惰性の日々を送っている。傍にいるのは、向上心のかけらもないパートタイマーの主婦たちだけ)。三人目は、ハウスメーカーの第五営業部課長の石黒賢太(43歳。深夜残業は当たり前。昔の体育会系で自分にも部下にも厳しい。部下には威圧的な態度を堅持。仕事一筋で、家庭を顧みない)。それらの三人は、芸人ならではとも言いえるポックリの意表を衝いたユニークなアドバイスの数々によって、どのように変身していくのでしょうか? 

 

[あらすじ] 芸人魂とコンサルタント魂のコラボ

22歳の頃、国営放送のJHKが初めて主催した「第一回JHK新人演芸競技会」で銀メダルを獲得したものの、大物俳優のカツラを剥ぎ取るという愚行で芸能界を永久追放となったポックリ小林。誰にも別れを告げることなく日本を飛び出し、自分の笑いが世界でどのくらい通用するかを試すために、世界各国を放浪する旅に出ました。15年後に帰国した彼はすでに37歳。芸能界への復帰は無理。そこで、日本初、いや世界初の「コンサルタント芸人」をめざします。コンセプトは、「芸人のお笑いで企業経営を救おう」というものでした。