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『独りの時間をご一緒します』 - 見ず知らずの他人であるからこそ、癒される

「すきま仕事を扱った作品」の第二弾は、沢木まひろ『独りの時間をご一緒します』(宝島社文庫、2015年)。報われない日々に疲れ果てていた葉山遊がスカウトされ、「伴い屋」として働き始めます。便利屋業やホスト業とは、似ているようで違うようです。依頼者の心の平安を得られるまでそばに留まることが基本のお仕事だからです。その仕事を行うなかで、彼自身もまた、潜在的に兼ね備わっていた自らの力に気づかされるとともに、救われ、また教えられていったのです。

 

[おもしろさ] 「悩みや不安を、思う存分ぶちまけたい」

「自分の悩みや不安を、思う存分ぶちまけることができたら」「心の中を曝け出して、聞いてほしい」。そのような気持ちを持っていたとしても、実際には、なかなか言えないものです。相手が家族や友人の場合なら、どうでしょうか。心配をかけさせてはいけないという思いがブレーキとなり、ずばり「ホンネ」を全面的にオープンというわけにはいかないのではないでしょうか。もしそれが、利害関係がまったくなく、見ず知らずの他人だとしたら……。むしろ話しやすいということがあり得るのではないでしょうか? 本書に登場する「伴い屋」というのは、そうしたニーズに応えるべき存在なのです。

 

[あらすじ] 「すっきりしたし。あしたからまた頑張れるわ」

ずっと働くつもりだった会社から解雇され、不安だらけの日々を送っている葉山遊26歳。「疲れた。全部放り出して、どこかへ逃げたい」。そう思いながら、ホームで電車を待っていると、ある紳士から声を掛けられます。「私のところで働きませんか。あなたに向いている仕事があります」と。男の名は神倉秀一。「仕事ってどういう」「依頼者の自宅などに赴き、ひとときをともに過ごす仕事です」「出張ホストみたいなことですか」「いいえ」「私どもは、『伴い屋』という造語を使っております。ともなう。伴侶の伴です。便利屋業やホスト業とは、似ているようで違います。依頼者の心の平安を得られるまでそばに留まることが基本なので。試してみるだけでもいかがですか。初回のアルバイト料として、5万円をお渡しします」。2時間後、ぴっかぴかの新札の誘惑に負けた遊は、依頼人である女性の自宅にいました。しかも、寝たきりの父の介護に疲れ果てたその女性とは、なぜか「本音」で話をすることができたのです。最後に涙を流した彼女は、遊に伝えます。「すっきりしたし。あしたからまた頑張れるわ。どうもありがとう」と。たった2時間半、紅茶を飲み喋っただけで5万円なんて貰うのはおこがましいと考えた彼は、神倉に金を返すつもりで、事務所に行きます。神倉からは、「会話を楽しむということを、ほんとうに久々にされた」という、彼女からのお礼の言葉を聞かされます。孤独を抱える人の傍らで、ひとときだけ寄り添うというその仕事に抵抗感を覚えていた遊。しかし、神倉や同僚の元風俗嬢・リリに支えられながら、少しずつ潜在的に兼ね備わっていた自らの力に気づかされるようになっていきます。次の依頼人は、裏社会で生きて来た70歳の老人でした。彼は、20年間を共に過ごしてきた猫の最期を独りで看取ることに耐えられなくて、伴い屋に依頼したのです。

 

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