経済小説イチケンブログ

経済小説案内人が切り開く経済小説の世界

経済小説のキホン

経済小説案内人イチケンです。
今日は経済小説の基礎知識を、
ご紹介していこうと思います。

 

1 経済小説とは、どのようなもの?

これまで、経済小説についての明確な定義はありませんでした。あえて言えば、「経済を題材にした小説」の総称ぐらいに考えられていました。経済小説の対象が主に企業であったことから、「企業小説」とか「ビジネス小説」といった言葉であらわされることもしばしばでした。しかし、経済小説が企業だけではなく個人や一国の経済活動を扱う場合もありましたので、「企業小説」や「ビジネス小説」というネーミングでは、やはり片手落ちにならざるをえません。そこで、経済小説との関連で呼ばれてきたいくつかの名称を、作品の「視点・対象」と関連づけて整理したのが、下の表になります。
私自身は、「働く人」や「企業」や「国・世界の経済の動き」などを描いた作品はすべて、経済小説と呼べるのではないかと考えています。もう少し具体的な言葉で申しますと、経済小説を広い意味で、すなわち「世の中と仕事とお金と暮らし」に関する小説として考えています。 

 

経済小説(広義)
名称・呼び方 視点・対象 テーマ
サラリーマン小説、OL小説、お仕事小説 個人 仕事観、働きがい、生きがいなど
企業小説、ビジネス小説、金融小説、商社小説など 企業・組織 企業・業界の仕組み・問題点、企業の活性化など
経済小説(狭義) 経済全体 日本経済、政府の経済政策、財政、対外経済関係など

 

2 経済小説のおもしろさは?

そのおもしろさは、次の3点に集約されます。
第一に、娯楽性・エンタテインメント性・ストーリー性が挙げられます。つまり、小説としてのおもしろさ、「ハラハラドキドキ度」の高さです。
第二に、情報性があります。一般の小説とは異なって、企業・業界・人物・経済事件に関する情報や知識を得ることができます。もちろん、作品自体は、あくまでもフィクションです。すべてを事実として信じてしまうわけにはいきません。ただ、経済小説の作家は、綿密な取材・調査を行い、資料の裏付けをとりながら書いています。したがって、経済の動きや業界の動向に関しては、ほぼ正確に描写されていると考えてよいと思います。そうしたリアリティがなければ、優れた経済小説とは言えませんので。
第三に、時代性もしくは時代感覚と言うのでしょうか、時代・テーマ・問題の切り口のおもしろさがあります。読者の皆さんは、経済小説を読むことによって、きっと時代状況を理解したり、課題を解決したりするためのヒント・アイディア・教訓を得ることができるでしょう。
 ところで、本のジャンルとして、「小説」「ビジネス書」「自己啓発書」があります。経済小説は、そうした三つのジャンルの本のおもしろさを兼ね備えたものとなっています。具体的には、①小説がもつ「エンタテインメント性」=ハラハラドキドキ性、②ビジネス書がもつ「情報・知識」、③自己啓発書がもつ「生き方・働き方への気づき、仕事に対するモチベーションの向上、人との接し方」などを得ることができるのです。一口で言いますと、「一粒で三度おいしい本」なのです。それが経済小説なのです。
経済小説を通して、エンタテインメントの醍醐味を味わいながら、知らない間に経済やビジネスや人生のなんたるかを学ぶことができるのではないでしょうか!