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『走れ! ビスコ』 - 戦力外だった新入社員が走り始めるとき!

「新入社員を応援する作品」の第二弾は、中場利一『走れ!ビスコ』(幻冬舎、2009年)です。新入社員が自分のやるべきことを見つけ、実践していくプロセスが、コミカルなタッチで描かれています。笑いすぎて涙が出てしまいそうなシーンのオン・パレードです。

 

[おもしろさ] 新入社員の悩みも徐々に変わっていく! 

なにをどうすればよいのかがまったくわからない新入社員も、少しばかり慣れてくると、今度は、新たな悩みや戸惑いが生じてきます。それは、どのようにして仕事に取り組めばいいのか、商品開発で最も大切なことはなにかといったような、仕事と直接かかわる悩みが生まれてくるからです。このようなとき、この本を読んでみてください。大いに励まされるでしょう。さらには、仕事上のヒントをもらうこともできるでしょう。

 

[あらすじ] 走り始めたビスコVS走ろうとしないユリちゃん

ワタシこと江口リツコは、大阪府堺市にある中堅製菓会社の広報部に配属された新入社員。「ビスコ」というニックネームをつけられています。おおざっぱ、のんき、泣き虫、ドンブリ勘定、苦労知らずで、お嬢様と言われているワタシは、新人研修を終えて間もなく、ほとんど「戦力外」に位置づけられてしまいました。ワタシと同期のユリちゃんは、いつも怖い先輩の尾藤景子さん、「いじめの尾藤」に泣かされています。しかし、「ここは会社、仕事をする場所」であることに気づいたワタシは、少しずつ走り始めました! きっかけは、新工場のPRの件で、現場に赴いたとき、工場長の前で「あの、提案があります!」と言ってしまったこと。「ええんちゃう、ソレ」。言い出しっぺのビスコは、「よーし! やるよ! ワタシやるからね」と、斬新な企画を考え出し行動に移してきます。それに対して、「ウチも働いてます」と言うユリちゃんに、尾藤さんは「オマエは動いてるだけや」「なんで自分もアンテナを張り、勉強して、努力をしないのか。なんで自分を高めようとせずに人を下そうとするのか」と厳しく言い放つのです。こうして、「成長しようとする人」と「しない人」の違いが鮮明になっていきます! 

 

走れ!ビスコ

走れ!ビスコ