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『君たちに明日はない』 - 転職によって開花することになる力も

「転職を扱った作品」の第四弾は、垣根涼介君たちに明日はない』(新潮文庫、2007年)。ここまでに紹介した三つの作品は、いずれも転職が本人の自発的な意思によって行われたケースでした。ところが、本人の意に反して、転職を余儀なくされるケースもないわけではありません。本書では、転職を促すことをビジネスとする「リストラ請負業」という「架空の会社」を舞台にして繰り広げられる人間ドラマが「リアル」に描かれています。続編に、『借金取りの王子君たちに明日はない2』と『張り込み姫:君たちに明日はない3』があります。初刊本は、2005年に新潮社から刊行。山本周五郎賞受賞作品です。2010年1月16日スタートのNHK土曜ドラマの原作。主演は坂口憲二さん、出演は田中美佐子さんでした。

 

[おもしろさ] 面談で浮き彫りにされる様々な企業・人間模様

リストラ請負会社に勤めて5年目の村上真介(33歳)。人員削減の対象となっている平山和明(48歳)という人物に対して、実質的に「クビ」を言い渡そうとしています。ただ、クビという言葉は労働基準法により使えません。指名解雇は違法なのです。そこで、まどろっこしい誘導形式になってしまいます。「大幅な人員減は確実です。これを機会に、新に外の世界にチャレンジされるのも一考かと思われますが、いかがでしょうか?」と。しかし、平山にすれば、簡単に承諾できるわけなどありません。当事者にも言い分があるのです。そこで、これまでの平山の行い・悪行の数々を暴露していきます。部下のやる気を失わせ、多額の交際接待費を使い込み、女性社員を手籠めにしたという過去を暴いていくのです。登場する面談の最初の事例は、以上のような内容なのですが、本書の魅力は、「リストラ請負」という汚れ仕事の最前線に立つ社員の姿を、「なんとも前向きの物語」に仕立て上げている点にあります。真介自身がそうであったように、転職によって新たな仕事に就けば、現在の職場では花開くことができなかったかもしれない、潜在的に持っていた自らの能力を発揮し、ステップアップすることもありえることが示唆されています。

 

[あらすじ] 自らの人生の過去と未来を直視する契機! 

人員削減の対象者に退職を促すというのが、リストラ請負人の仕事。当然のことながら、真介自身も、疑問を持ち、嫌になることが多々あります。何度も辞めてしまいたいと思ってきました。ただ、どこかに心ひかれている自分を発見し、辞めきれずにきているのです。軽薄この上ない雰囲気を醸し出しているものの、仕事の最前線では、相手にどんなに恨まれ、なじられ、泣かれても、自分の職務を全うしていくのです。真介との面談を通して、それまで包み込んでいたヴェールがはぎとられていくことで、リストラという現実に直面した人々(ベテラン・中高年・中堅社員)は、これまでの人生とこれからの人生を直視する契機を得ることに。その点が興味深く述べられていきます。そして、なによりも真介本人の人を見る目も養われ、彼の「仕事観」も鍛えられていくストーリーになっています。

 

君たちに明日はない(新潮文庫)

君たちに明日はない(新潮文庫)

 
借金取りの王子: 君たちに明日はない2 (新潮文庫)
 
張り込み姫: 君たちに明日はない3 (新潮文庫)

張り込み姫: 君たちに明日はない3 (新潮文庫)

  • 作者:垣根 涼介
  • 発売日: 2012/03/28
  • メディア: 文庫
 

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