かつてタクシーの運転手といえば、ほぼ間違いなく男性でした。ところが昨今、運転手の人手不足や高齢化が進むなか、女性や外国人のドライバーを積極的に採用するタクシー会社が増えているようです。運転手になるためには、二種免許(普通免許を取ってから3年…
「代書屋を扱った作品」の第二弾は、松崎有理『代書屋ミクラ』(光文社文庫、2016年)。「3年以内に一定水準の論文を発表できない研究者は、大学を退職しなければならない」。通称「出すか出されるか法」という架空の法律のもと、研究業績の発表に血眼になる…
書類や手紙を書こうとしても、なかなか筆が進まない。とりあえず書いてはみたものの、果たしてこれでいいのか、自信が持てない……。だれか代わりに書いてほしい! つい願ってしまいます。本当に切羽詰まってしまったら、また身近なところに、「文章作成を代行…
「女性記者を扱った作品」の第二弾は、仙川環『細胞異植』(新潮文庫、2014年)。大日新聞北埼玉支局に赴任した記者・長谷部友美の成長物語。「馬力もある。少なくとも、プライベート優先でなるべく効率的に仕事をしたい最近の若いもんとは、目つきも気構え…
新聞記者の仕事は、世の中の情報を人々に正しく伝えること。そのためには、綿密な取材・調査・学習などを通し、エビデンスを明確にしたうえで記事を書くことが求められます。ところが、取材相手が常に協力的かと言うと、けっしてそうではありません。触れら…
「警察学校を扱った作品」の第二弾は、吉川英梨『警視庁53教場』(角川文庫、2017年)。2001年の警視庁警察学校1153期小倉教場に所属していた学生たちの動きと、16年後の「事件」に対する捜査活動が並行して語られていきます。捜査するのは、警視庁刑事部捜…
2023年6月14日、事件が起こりました。入隊間もない18歳の自衛官候補生(守山駐屯地所属)が自動小銃を発砲し、指導役として教育に当たっていた陸上自衛隊員の上官3名を死傷させたのです。候補生が自衛官に任官されるまで3カ月。さらに1年9カ月の任期を終える…
「高校教師を扱った作品」の第二弾は、あさのあつこ『グリーン・グリーン』(徳間文庫、2017年)。県立喜多川農林高校の教師になった翠川真緑(みどりかわ みどり)。「グリーン・グリーン」は彼女のあだ名です。都会育ちで、農業オンチのグリーン・グリーン…
教師モノのドラマや小説の主人公。連想しがちなのは、ヒーローのような活躍とか、頼りがいのある「先輩」とか、品行方正な人格者とか、「教師=尊い職業」といった考え方ではないでしょうか? しかし、教師もまた人間。生徒との距離感がわからなかったり、仕…
「ピアノを扱った作品」の第二弾は、宮下奈都『羊と鋼の森』(文藝春秋、2015年)。弦の張りを調整し、ハンマーを整え、ピアノがより美しく音楽を形にできるようにする調律師。ピアニストが美しい音を出せるには、彼らの存在を欠かすことができません。高校…
『エリーゼのために』という曲のよく知られた冒頭。ほんの一節ですが、学生時代の一時期、ピアノで音を出せたことがあります。とてもうれしく思った。そんな記憶があります。それ以来、ピアノに触れる機会はなく、聴くこともほとんどありません。ただ、何年…
「旅館の女将を扱った作品」の第二弾は、令丈ヒロ子(原作・文)、吉田玲子(脚本)『若おかみは小学生! 劇場版』(講談社文庫、2018年)。交通事故で両親を亡くした小学校六年生の関織子(通称おっこ)が祖母の営む温泉旅館「春の屋」で若女将として修業す…
コロナ禍で、人の移動が大きく制限され、深刻な打撃を受けた宿泊業界。政府が旅行代金を補助する全国旅行支援を始めたのが、2022年10月。それ以降、日本人の延べ宿泊者数は大きく増加しています。ところが、多くの従業員が辞めてしまったことで、今度は深刻…
「食堂を扱った作品」の第三弾は、「子ども食堂」の発足につながる試みを描いた伽古屋圭市『かすがい食堂』(小学館文庫、2021年)。東京・下町の「駄菓子屋かすがい」を受け継いだ春日井楓子は、拒食症をはじめ、さまざまなトラブルを抱える子どもたちのた…
「食堂を扱った作品」の第二弾は、社員食堂を対象にした田中大祐『小説 体脂肪計タニタの社員食堂』(角川文庫、2013年)。世界初の家庭用体脂肪計を開発した健康計測機器メーカー「タニタ」で始まった社員のダイエットプロジェクトの顛末記。一筋縄ではいか…
暖簾をくぐり、ドアを開けると、視野に入るのは、四人掛けの簡易テーブルとイスが置かれた「食堂」という世界。壁には、料理名を書いた紙がいくつも貼られています。どれを注文しようかと考えていると、香ばしさに、思わずお腹が鳴りそうになることも……。食…
「住むところを扱った作品」の第四弾は、逢上央士『建築士・音無薫子の設計ノート-あなたの人生、リノベーションします。』(宝島社文庫、2017年)。建築上のさまざまな悩みや問題への解決策を求め、音無建築事務所を訪れるクライアント。彼らの要望のウラ…
「住むところを扱った作品」の第三弾は、原田ひ香『そのマンション、終の住処でいいですか?』(新潮文庫、2022年)。有名な建築家・小宮山悟朗によって設計され、大きな話題を呼んだ「赤坂ニューテラスメタボマンション」。しかし、いまではとんでもない欠…
「住むところを扱った作品」の第二弾は、中澤日菜子『ニュータウンクロニカル』(光文社文庫、2020年)。多摩ニュータウンを連想させる若葉ニュータウン。1971年から2021年までの半世紀に、巨大団地が歩んだ年代記。10年ごとの姿を描いた6つの短編から構成さ…
家という商品は、食べ物や服や靴とは大きく異なります。自分のものにしようと思えば、普通は20年、30年という長期ローンを組まなければならないほど、お金がかかります。その結果、働いて稼ぐお金のうち、かなりの部分がローンに吸い上げられることになりま…
「会社のトラブルを扱った作品」の第五弾は、新川帆立『競争の番人』(講談社、2022年)です。資本主義のバイタリティを支える条件のひとつに、「公平な競争」があります。公平な条件下で行われる経済活動こそが、それに関わる人々の「ヤル気」と「頑張り」…
「会社のトラブルを扱った作品」の第四弾は、上野歩『あなたの職場に斬り込みます!』(光文社文庫、2022年)。さまざまな労働関連の法規に基づき適切な就業環境づくりを指導する立場にある労働基準監督署や公共職業安定所(ハローワーク)。いずれも労働局…
「会社のトラブルを扱った作品」の第三弾は、水生大海『ひよっこ社労士のヒナコ』(文藝春秋、2017年)です。社労士の正式名称は、「社会保険労務士」という国家資格者。「おおざっぱに言えば、会社の総務部のお手伝い」。採用から退職までの労働・社会保険…
「会社のトラブルを扱った作品」の第二弾は、井上由美子『ハラスメントゲーム』(河出書房新社、2018年)です。マルオーホールディングス本社のコンプライアンス室長に任命された秋津渉が、唯一の部下である高村真琴とともに、セクハラ、パワハラなどの難問…
多くの人たちが一緒に働いている会社。が、社員たちが生まれ育った環境や境遇はバラバラです。仕事のやり方やスピード感はけっして一様ではありません。さらに、上司と部下、男性と女性、正社員と非正規社員の間では、大きな考え方の違いやズレが横たわって…
「殺し屋を扱った作品」の第二弾は、石持浅海『殺し屋、やってます。』(文春文庫、2020年)です。「やるべきことをきっちりやってこその職業」という考えの持ち主である富澤充。経営コンサルタントというオモテの稼業と殺し屋というウラの稼業をうまく使い…
「殺し屋」という闇稼業を描いた小説。非常にたくさん書かれています。しかし、それを「ビジネス」もしくは「仕事」と見立てた作品となると、非常に限られてくるように思われます。殺人は違法です。それゆえ、大々的に宣伝することはできません。もちろん営…
「家計を扱った作品」の第二弾は、青木祐子『派遣社員あすみの家計簿』(小学館文庫、2019年)です。彼氏に騙され、「寿退社」してしまった28歳の藤本あすみ。ノー天気なところがある「お嬢さま」。どのようにして、生計を立てていくのでしょうか? 節約生活…
企業や政府とともに、経済活動(収入・支出・投資・貯蓄)の主体として大きな役割を果たしているのは、家計です。経済小説の素材として非常に頻繁に扱われる企業とは対照的に、家計を扱った作品は、極めて少ないと言わざるを得ません。物価が高騰し、依然と…
「看護師を扱った作品」の第二弾は、藤岡陽子『いつまでも白い羽根』(光文社文庫、2013年)です。看護師になるためには、看護師国家試験に合格する必要があります。その受検資格を得るためには、指定された看護学校を卒業しなければなりません。本書では、…